ISMS審査員は副業できる?
この記事の3つのポイント
- ISMS審査員は、正社員でなくとも、業務委託という形で審査員の業務を行うことが可能
- 未経験からISMS審査員になる流れは、研修と登録(審査員補)→審査機関との契約→実績を重ねて「審査員」へ昇格→リーダー経験を積み「主任審査員」へ
- 業務委託契約でISMS審査員を副業にする際の注意点は、利益相反に注意、本業の就業規則を確認、稼働日の確保が必要
現在の仕事でISMSにかかわっている場合など、審査を受けたときにISMSの審査員に興味を持つことがあるかもしれません。
もし副業で審査員になれるのなら、現在の業務と地続きの内容で副収入ややりがいが得られるでしょう。
この記事では、副業としてISMS審査員になる場合について解説します。
審査員の仕事にご興味おありの方はぜひ参考にしてみてください。
目次
ISMS審査員は副業として働ける?
副業でISMS審査員として働くことは可能です。多くの認証機関では「外部契約審査員(委託審査員)」を募集しており、週または月に数日だけ審査業務を請け負う働き方が一般的です。
ただし、誰でもすぐに副業でできる仕事ではありません。以下のような経験が求められます。
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企業での職務経験
前提条件として、IT・情報技術分野のセキュリティ業務に関する一定のキャリアが必須です。 -
研修と実務経験
審査員研修の受講、審査実習(立ち会い、同行)、実務経験を積むなど、審査員として登録・活動するためにはいくつかのステップをクリアする必要があります。
ここ数年は審査員不足が続いており、認証機関によっては副業・業務委託の審査員を積極的に募集しています。
特にニーズが高い傾向があるのは、IT業界の経験者やクラウド・セキュリティにくわしい人材です。
しかし必須要件のキャリアがあったとしても、副業を始めるまでに半年~1年以上かかる人もいます。
中長期的なキャリア形成として考えるのがおすすめです。
ISMS審査員補と審査員の違い
ISMSの審査の実務担当者には、審査員のほかに「審査員補」という立場もあります。ここでは両者の違いを確認しておきましょう。
なお審査員・審査員補ともに、認証機関を問わず求められる経験や目指す際の手順などは基本的に共通しています。
ISMS審査員補とは
ISMS審査員補とは、「ISMS審査員」になるための第一段階の資格(入門資格)です。一人で審査を担当できる立場ではなく、審査の実地経験(日数)を稼ぐためだけのステータスと考えると分かりやすいでしょう。
【審査員補の役割】
審査員補になると、認証機関の審査に同行し以下のような活動を行います。
- 審査の進め方を学ぶ
- 審査員や主任審査員の補助をする
- 審査報告書の作成を経験する
- 審査実績(審査日数・案件数)を積む
審査員補は審査員になるまでの実務経験を積む「見習い期間」のようなもので、まだ一人前とは言えません。
そのため認証機関と業務委託契約を結んで活動する場合、「審査員補」の段階では報酬が出ない(無給、あるいは交通費のみ支給)ケースがほとんどです。
つまり、副業として報酬を得るためには審査員になることを目標にする必要があります。審査員補とは、あくまで審査員になるための投資期間と捉えた方がよいでしょう。
ISMS審査員とは
ISMS審査員とは、審査チームのメンバーとしてISMSの審査を担当できる人を指します。
一般的には、審査チームリーダーを担う主任審査員のもとで担当範囲について審査を行います。
一方で、審査チーム全体を統括して審査計画の管理やチームメンバーへの指示や審査結果の取りまとめなどを行う役割は、主に主任審査員が担います。
そのためISMS審査員を目指す場合は、まず審査員補として登録し、認証機関のもとで審査経験を積んでから審査員にステップアップする流れが一般的です。さらに上位の主任審査員を目指す場合は、審査員としての実績やリーダーとしての経験が求められます。
副業でISMS審査員を目指せる人の特徴
副業でISMS審査員を目指せる人の特徴としては、以下の点が挙げられます。
- 情報システム部門やセキュリティ担当の経験者情報技術や情報セキュリティに関する経験を活かしやすい
- ISMS事務局や内部監査の経験者ISMSの運用や監査の流れを理解している
- IT監査・システム監査経験者組織のセキュリティ管理や統制を評価する経験がある
- コンサルティング経験者顧客対応、課題整理、文書作成、改善提案などのスキルを活かしやすい
審査員登録にあたっては、これらの経験に加えて実務経験年数、情報セキュリティ関連業務の経験年数、経験内容の妥当性などが確認されます。そのため、ISMS審査員を目指す場合は、自身の業務経験が登録先の条件を満たしているか事前に確認することが重要です。
ISMS審査員になるために評価されやすいキャリア
企業でどんなキャリアを積んでいれば、ISMS審査員を目指しやすいのでしょうか?
端的にいうと、「企業のIT部門」や「情報セキュリティの現場」で、管理・運用・監査側のポジションを経験したキャリアです。
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社内SE・情報システム部門(情シス)の責任者・担当者社内のITインフラや情報資産を管理し、セキュリティ対策を実施してきた経験。
【主な業務例】
・PC・サーバー・クラウドの運用管理
・アカウント・アクセス権限管理
・バックアップ運用
・情報セキュリティ対策
・ISMS(ISO/IEC 27001)の事務局 -
セキュリティコンサルタント・セキュリティエンジニア企業の情報セキュリティ向上やISMS構築・運用を支援してきた経験。
【主な業務例】
・ISMS(ISO27001)の取得・更新コンサルティング
・セキュリティ診断
・リスクアセスメント
・セキュリティポリシー策定
・CSIRT・SOC運用 -
内部監査・品質管理・コンプライアンス部門社内ルールやマネジメントシステムが適切に運用されているかを監査・改善してきた経験。
【主な業務例】
・ISMS(ISO/IEC 27001)内部監査
・IT監査
・J-SOX対応
・品質保証(QA)
・ISO9001事務局
・リスク管理・コンプライアンス -
ITプロジェクトマネージャー(PM)・運用保守責任者システム開発や運用プロジェクトにおいて、情報セキュリティやリスク管理を推進してきた経験。
【主な業務例】
・情報漏えい対策
・アクセス権限管理
・ベンダー管理
・NDA(秘密保持契約)の管理
・クラウドサービスのセキュリティ管理
・プロジェクト全体のリスクマネジメント
副業でISMS審査員になるまでの流れ
続いて、副業でISMS審査員になるまでの流れを確認しましょう。一般的には次の流れとなります。
- 研修と登録(審査員補)
- 審査機関との契約
- 実績を重ねて「審査員」へ昇格
- リーダー経験を積み「主任審査員」へ
では、順に見ていきます。なお私どもジーサーティの場合は以下のページをご参照ください。
ジーサーティの研修は主任審査員になることを目的とし、最短で主任を目指せる珍しい研修となっています。
ISO/IEC 27001(ISMS)主任審査員キャリア支援・実習コース
STEP1:研修と登録(審査員補)
まず初めに、認証機関などが提供する審査員研修を受講します。学ぶ内容には基準があるため、研修による違いは基本的にありません。理解・習得しておくべき知識、実務で必要となるスキルを身につけます。研修は4~5日前後が一般的です。
研修を行う機関や企業により、通学・オンラインなど受講スタイルが異なります。
研修の最終日には筆記試験があり、合格しなければ次に進めません。
試験で不合格となった場合は後日再試験を受ける必要があります。研修で合格のサポートが提供されていることも少なくありません。気になる場合はあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
STEP2:審査機関との契約
試験に合格したら、審査員として活動するための登録手続きに進みます。
登録先や登録区分・必要書類は、審査員登録機関や認証機関の制度によって異なります。
ISMSの場合は、IT・セキュリティ分野の実務経験や関連知識などを確認されたうえで、まずは審査員補として経験を積む流れが一般的です。その後、審査員補や訓練中の審査員を受け入れている認証機関と契約し、審査現場に同行しながら実際の審査の進め方を学んでいきます。認証機関が研修から実習、登録後の活動までサポートしている場合もあります。
STEP3:実績を重ねて「審査員」へ昇格
登録後は、審査員になるための実務経験を積むため、チームの一員として実際の審査に参加します。
審査実績や登録期間を重ね力量を高めつつ「審査員」を目指します。
STEP4:リーダー経験を積み「主任審査員」へ
審査員としてさらに経験を積むと、審査チームをまとめるリーダー役を任されることもあります。
リーダーとしての実績や力量が認められれば、「主任審査員」へのステップアップを目指せます。
業務委託契約でISMS審査員を副業にする際の注意点
続いて、業務委託契約でISMS審査員を副業にする際の注意点についてまとめます。
以下の点が挙げられます。
- 利益相反に注意する
- 本業の就業規則を確認する
- 稼働日の確保が必要になる
1つずつ見ていきましょう。
利益相反に注意する
副業でISMS審査員を目指す場合、特に注意が必要なのが利益相反です。
審査員は、第三者として公平性・独立性を保った立場で審査を行う必要があるためです。
たとえば別の副業で内部監査支援やISMSコンサルティングを行った企業について、その後に認証審査を担当することはできません。また、本業で取引関係がある企業、過去に支援した企業、個人的な利害関係がある企業などについても同様です。
このような関係がある場合は、審査員本人が認証機関へ事前に申告して当該企業の審査に割り当てられないようにする必要があります。
適切に対処されていない場合、審査の公平性が疑われ、認証機関や審査を受けた企業の信頼にも影響しかねません。そのため担当できない案件を明確にしておくことが重要です。
本業の就業規則を確認する
さらに本業の就業規則を初めに確認しておくことは不可欠です。そもそも本業で副業が許可されていないなら、審査員にも審査員補にもなれません。本業に秘密で行っていたとしても、住民税が増えたりしてバレることがあります。少なくとも口頭注意や始末書の提出が求められます。
会社員の副業を規制する法律はありません。しかし就業規則違反や本業への支障などがある場合は、懲戒処分の対象となることがあります。
稼働日の確保が必要になる
さらに副業では稼働日の確保が課題となることがあります。優先するべきは本業で、副業はあくまで本業に悪影響がない範囲で行う必要があるためです。
また審査や打ち合わせは基本的に平日です。さらに場合によっては宿泊を伴う出張もありえます。そのため平日に本業がある場合、副業の対応がかなり難しくなるのも事実です。
ただし認証機関によっては柔軟に対応してもらえる可能性もあります。また自由度の高い勤務形態や環境であれば副業も可能です。
まとめ|ISMS審査員は副業からでも目指せる
ISMS審査員は、一定の経験があり条件が許せば副業として行うことができます。人材不足という面もあり、安定的に収入が得られるようになるでしょう。
もしも自分が条件を満たしていて興味があるのなら、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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