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ISMSは時代遅れなのか?新たな活用法と自社に必要か不要かの判断基準

2026.05.29
ISMSは時代遅れなのか?新たな活用法と自社に必要か不要かの判断基準

この記事の3つのポイント

  1. ISMSはオンプレミス中心の時代に設計されたため、時代遅れと受け取られることがある
  2. ISMSが時代遅れになったと言うより、マニュアルから変化に対応していくためのベースの基準へと役割が変わった
  3. 現代でも、大企業相手の企業、個人情報や機密情報を扱う企業、海外の企業と取引のある企業はISMS取得のメリットが大きい

「ISMSはもう時代遅れなのでは?」──。新規取得を検討する企業の多くが、こうした疑問を抱えています。
結論から言えば、ISMS(ISO/IEC 27001)は時代遅れになったわけではなく、その役割が変化しているに過ぎません。

この記事では、なぜそう言われるのかを整理しつつ、現代における実践的な活用法や、自社にとって本当に必要かどうかを判断するための視点を分かりやすく解説します。

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ISMSが時代遅れと言われる理由

ISMSが「時代遅れ」と言われる背景には、IT環境の変化があります。
クラウド・SaaS環境の普及やゼロトラストアーキテクチャへの移行、DevSecOpsによる開発・運用サイクルの高速化、さらに動的な脅威への対応が求められるなかで、従来の枠組みとのギャップが指摘されています。ここからは、それぞれの要素を具体的に解説していきます。

クラウド・SaaS環境との相性の悪さ

クラウドやSaaSの普及により、企業のIT環境は大きく変化しています。
そのなかで、従来の前提で設計されたISMSに違和感を持つ企業も増えています。
クラウド時代において「ISMSと相性が悪い」と言われる理由を整理します。

  • オンプレミス前提で設計ISO27001は、オンプレミス中心の時代に整備された背景があり“オンプレミス寄りの規格”と捉えられることがあります。
    ※最新の規格「ISO/IEC 27001:2022」ではクラウドや外部委託、リモートワークを前提とした設計にアップデートされています。
  • 社内/社外という考え方「ISMSは社内外を分けて管理する」という考え方が根底にあるため、クラウドやSaaSの普及でその前提が崩れています。
  • 現代インフラとのギャップクラウド前提の環境とは乖離があり、運用で補う必要があるため「時代遅れ」と感じられる要因となっています。

ゼロトラストアーキテクチャとの整合性の弱さ

ゼロトラストアーキテクチャの普及も、ISMSが「合わない」と感じられる要因の一つです。
ISMSはこれまで、「信頼できる内部ネットワーク」を前提とした境界防御モデルをベースにしてきました。
一方でゼロトラストは、「内部も含めて一切信頼しない」という考え方に立っています。

この前提の違いにより、ゼロトラストを導入している企業では、ISMSの管理策の体系と実際の設計思想との間にズレが生じやすくなります。

開発・運用サイクル(DevSecOps)との統合の難しさ

現在は、開発(Dev)と運用(Ops)にセキュリティを組み込む「DevSecOps」が主流となり、セキュリティ管理も変化しています。
従来のような「文書化・承認・審査」ではなく、「コードとして自動化し、継続的に検証する」考え方が重視されるようになりました。

そのため、文書や手続き中心で運用されがちなISMSのアプローチは、スピードや柔軟性を求める現場と噛み合いにくい傾向があります。

動的な脅威への対応遅延(静的なリスクアセスメント)

ISMSのリスクアセスメントは、資産ごとに定期的にリスクを評価する「静的」な手法が一般的です。
しかし、サイバー攻撃は日々進化し、新たな脆弱性も次々と発見されます。
このような環境下では、数ヶ月~1年単位の見直しでは変化への即時対応が難しく、実効的な防御策の検討にタイムラグが生じやすくなります。

結果として、現場とのスピード感のギャップが課題となります。

ISMSは日本だけ?海外の新規取得企業数

ISMSは日本だけで使われている規格ではありません。
海外ではむしろ新規取得が増加しており、2023年に約48,671件だった認証数は、2024年には約96,709件と大きく伸びています。
特に中国やインドでの増加が顕著です。

このように国際的な広がりを踏まえると、ISMSは依然として有効な枠組みといえます。
これらの国と取引している、または将来的に取引を予定している企業にとっては、決して時代遅れとはいえません。

ISMSでは要求に不足するケース

ISMSは組織全体の情報セキュリティを管理する「マネジメントシステム認証」ですが、近年は特定領域や法規制への技術的な準拠が求められるケースも増えています。
そのため、ISMSだけでは要件を満たしきれない場面もあります。

ここからは、追加対応が必要になりやすい代表的なケースを紹介します。

クラウドサービス提供企業の場合

クラウドサービス提供企業では、ISMS(ISO/IEC 27001)だけでは不十分とされる場合があります。
たとえば、運用体制や可用性、ログ管理などの実装レベルを確認するため、SOC 2の提出を求められるケースがあります。

また、クラウド特有のリスクに対応しているかを確認する目的で、ISO/IEC 27017への対応や取得を求められることもあり、追加の対策が必要となります。

以下の記事でも詳しく解説しています。
ISO27017とは?取得の手順やメリットを解説します!

大企業との取引がある場合

大企業との取引では、ISMSだけでなく、NIST Cybersecurity FrameworkやCIS Controlsなど、より具体的な技術対策への準拠を求められることもあります。
特にサプライチェーン全体のリスク管理が重視される場面では、管理体制に加えて実装レベルでのセキュリティ対策が問われるケースもあります。

海外企業との取引がある場合

海外企業との取引では、ISMSだけでは不十分とされる場合があります。
特に米国のSaaS企業では、SOC 2 Type IIやNIST SP 800-171などが標準とされることもあります。
そのためISMSを取得していても、取引先の監査要件としてSOC 2などのレポート提出を別途求められることがあります。

サプライチェーン管理が求められる場合

サプライチェーン管理が求められる場合、ISMSだけでは不十分とされることがあります。
自社が委託先や取引先を含めて管理する立場にある場合、単なる認証取得に加えて、サプライチェーン全体のリスク評価や管理手順、継続的な監査プロセスの提示を求められるケースがあります。

近年は委託先経由の情報漏えいなどのセキュリティリスクが問題視されており、より具体的で実効性のある対策が重視されています。

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現代版ISMS:形骸化させないための新しい活用法

クラウド時代において、ISMSは単独で完結するものではなく、基盤としてほかの認証やフレームワークと組み合わせて活用されるケースが増えています。
また、従来の「守るべきマニュアル」から、変化に対応し続けるためのベースへと役割も変わりつつあります。

ここからは、現代に適したISMSの具体的な活用方法を紹介します。

経営管理・ガバナンスの「共通言語」として

ISMSは、経営層・IT部門・現場の間でセキュリティに関する認識を揃える「共通言語」として機能します。
リスクベースアプローチにより、優先度に応じた意思決定が可能となり、セキュリティを単なるIT課題ではなく経営課題として扱う土台を提供します。

さらに、事業部ごとにバラバラになりがちな対策を統一し、組織全体で一貫したガバナンスを実現する役割も担います。

ゼロトラスト移行への「現状把握ツール」として

ISMSは、ゼロトラスト導入前の現状把握ツールとしても有効です。
資産管理、アクセス管理、ログ管理などを整理し、既存の対策状況を可視化できます。また、リスクアセスメントの結果をもとに、“どこを優先的に強化すべきか”を判断しやすくなります。

ゼロトラストに置き換えるというよりは、既存対策の棚卸しと設計の土台として活用することで、相互補完的な機能が期待できます。

他フレームワーク(NIST等)を繋ぐ「ハブ」として

ISMSはマネジメントシステムとしての枠組みを活かし、より専門的なフレームワークを組み合わせる際の「ハブ」としても機能します。
複数の基準を個別に管理するのではなく、ISMSを基盤に整理することで重複を防ぎ、既存の文書やプロセスも流用しやすくなります。
結果として、複雑になりがちなセキュリティ要求を体系的に整理する役割を果たします。

取得が役立つケース

ISMSの取得は、以下のような企業にとって特に大きなメリットが期待できます。

  • (Case.1)大企業・官公庁と取引する企業BtoBでは取引要件として求められたり、選定時の評価項目になるケースが多いです。
  • (Case.2)個人情報・機密情報を扱う企業ITサービス、受託開発、人材、広告、コールセンターなどでは、信頼性の向上や営業面でのメリットが大きくなります。
  • (Case.3)海外企業と取引・展開する企業ISO 27001は国際規格のため、海外拠点の設立や外資系企業との契約時に「共通の保証水準」として活用できます。

以下の記事でも詳しく解説しています。
ISMS(ISO27001)認証の取得企業について知る!業種など特徴と検索方法とは

取得の優先度が低いケース

逆に、以下のようなケースではISMS取得の優先度が低い場合もあります。

  • (Case.1)BtoC中心で機密情報の取扱いが限定的な企業小売や飲食などの店舗ビジネスでは、大量の個人情報を扱う場合を除き必須性は高くありません。
  • (Case.2)取引先が小規模事業者中心の企業セキュリティ認証が取引要件となるケースが少なく、取得メリットが限定的です。
  • (Case.3)プロダクト開発初期のスタートアップ仕組みが固まる前に導入すると、ドキュメント整備の負担が増え、開発スピードや柔軟性を損なうリスクが発生します。

以下の記事でも詳しく解説しています。
ISMS取得は意味がない?取得した方がよいケースとしない方がよいケースまとめ

まとめ

ISMSは「時代遅れ」なのではなく、役割が変化していると捉えるのが適切です。
自社にとって本当に必要かどうかは、事業内容や取引先、将来の展開などによって異なります。
判断に迷った場合は、第三者に相談することで客観的な視点を得るのも有効です。コンサルティング会社はもちろん、ジーサーティーでも状況に応じた支援が可能です。
自社に合った“最適な一歩”を見極めていきましょう。

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早坂 駿汰
早坂 駿汰ISO審査員

日々の審査を通じ、 知識の拡大に奮闘しております。 前職で培った丁寧さを持ち前に、お客様に寄り添う審査員として活動していきたいと思っております。

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