ISO27001 COLUMNISO規格の知識コラム(ISO27001)

ISO27001 コラム

ISO27001

ISMSにおけるリスクアセスメントとは?情報セキュリティ対策を具体的に解説

2024.11.07
ISMSにおけるリスクアセスメントとは?情報セキュリティ対策を具体的に解説

この記事の3つのポイント

  1. リスクアセスメントとは、リスクを発見・分析・評価をすること
  2. リスクアセスメントはリスクの特定、分析、評価の3つのプロセスからなる
  3. リスクへの対処は軽減、回避、移転、受容の4つがある

リスクアセスメントは、組織が直面する情報セキュリティリスクを把握し、適切な対策を行うための重要なプロセスです。

情報漏えいや不正アクセスなどのセキュリティインシデントが発生すると、企業の信頼や業務の継続性に深刻な影響を与えかねません。

この記事では、リスクアセスメントの手順と対処方法について解説します。

ISO・ISMS審査に関するご質問は
お気軽にお問い合わせください!
お問い合わせフォーム

ISMS(情報セキュリティシステム)とリスクアセスメント

ISMS(情報セキュリティシステム)の導入や運用において、ISO27001認証を取得するためには、リスクアセスメントの実施が必須となります。

そもそもリスクアセスメントとは、リスクを発見・分析・評価することです。
ISO27001では、情報資産に対するリスクを適切に評価し、リスク対策を講じることが求められており、その具体的な実施基準が定められています。

要求事項の詳細については次の記事で詳しく説明しています。
ISO27001(ISMS)の規格要求事項とは?

次に、リスクアセスメントの基本的なプロセスについて解説します。

ISMSで求められるリスクアセスメントーリスク特定・リスク分析・リスク評価

ISMSで求められるリスクアセスメントは、次の3つのプロセスに分けられます。

リスク特定

組織における情報セキュリティリスクを洗い出すプロセスです。
リスクとは、情報セキュリティの三大要素である「機密性」「完全性」「可用性」を損なう要因です。

【リスク特定】機密性:情報が許可なく第三者にアクセスされることを防ぐこと/完全性:情報が正確で改ざんされていないことを保証すること/可用性:必要なときに情報がアクセス可能であること

これらの要素に影響を与えるリスクを特定します。

リスク分析

特定されたリスクが組織にどの程度影響を及ぼすかを調査・分析します。
主な分析ポイントは次の通りです。

【リスク分析】重要度:リスクが発生した際の組織に対する影響の大きさ/発生率:リスクが発生する可能性の頻度/脆弱性:組織がそのリスクに対してどの程度脆弱であるか

これらのポイントを数値化し、リスクの優先順位を設定します。

リスク評価

リスク評価は、分析結果に基づいて対処すべきリスクを決定する段階です。
どのリスクに対してどのように対応するかの方針を決定し、優先順位に基づいて対策を実施します。

次に、具体的なリスクアセスメントの手順について説明します。

具体的なリスクアセスメントの手順

リスクアセスメントは、次の手順で実施されます。

STEP① リスク特定

まず、情報資産を洗い出します。
情報資産にはデータやシステムだけでなく、紙の書類、サーバー、パソコン、USBメモリなども含まれます。

次に、これらの情報資産を分類し、それぞれにどのようなリスクが存在するかを評価します。

  • 機密性に関するリスク
    情報漏洩や誤送信。
  • 完全性に関するリスク
    データの改ざんや入力ミス。
  • 可用性に関するリスク
    システム障害やパスワードの紛失。

STEP② リスク分析

次に、特定されたリスクの重要度、発生率、脆弱性の観点からリスクを分析します。
以下の手法を使い分けてリスクを評価します。

  • ベースラインアプローチ
    既存の基準やガイドラインに基づいてリスクを評価。
  • 詳細リスク分析
    リスクの詳細な特性を分析し、影響を評価。
  • 非形式的アプローチ
    専門家の意見や過去の経験を基にリスクを評価。

STEP③ リスク評価

リスク値を算出し、対処が必要なリスクを決定します。
リスク値は次のように計算されます。

リスク値 = 重要度 × 発生率 × 脆弱性

この評価に基づき、リスクの優先度を決め、適切な対策を講じます。

また、リスクアセスメントについては文書化要求があります。
ISMS(ISO27001)における文書化については以下の記事を参照ください。
ISOにおける文書管理の基本事項と押さえておくべきポイント

GCERTIのISO27001(ISMS)審査は審査がスピーディ・審査料が安い・お客様の負担が少ない

リスクへの対処方法

リスクへの対処方法には、次の4つのアプローチがあります。

リスク軽減

リスクの発生確率や影響を減少させる方法です。
頻度が高く影響が小さいリスクに適用されます。

例:情報の暗号化や従業員教育。

リスク回避

リスクそのものを回避する方法です。
発生頻度が高く影響も大きい場合に適用されます。

例:個人情報を扱わない、リスクを引き起こす業務を廃止する。

リスク移転

リスクを第三者に移す方法です。
頻度が低く、影響が大きいリスクに適用されます。

例:外部業者にシステム運用を委託する。

リスク受容

リスクを認識しながらも、対策を講じない方法です。
影響が小さく、対策にコストがかかる場合に適用されます。

リスクへの対処方法を選定する際には、リスクの特性と企業の状況を考慮し、適切な対策を講じることが求められます。
こうしたリスク管理のプロセスを適切に行うことで、組織は情報資産の保護を強化し、ビジネスの信頼性を高めることができます。

なお、ISMSにおけるリスク管理については以下の記事でも解説しています。
ISO27001(ISMS)を企業が取得する目的って?

まとめ

ISMSにおけるリスクアセスメントは、情報セキュリティ対策を効果的に行うための基盤です。
リスク特定、リスク分析、リスク評価の3つのプロセスを体系的に実施することで、組織は潜在的な脅威を明確にし、適切な対策を講じることができます。

また、リスクへの対処方法を適切に選択することで、組織の情報資産を効果的に保護し、ビジネスの安定性と信頼性を高めることができます。

ISMS認証の取得を目指している企業にとって、リスクアセスメントは不可欠なステップです。
この記事を参考に、各ステップを着実に進め、強固な情報セキュリティ体制の構築を目指してください。

  • SNSでシェアする

1分でカンタン!
なんでも質問フォーム

株式会社GCERTI-JAPAN
ISO審査機関です。
コラムの内容やISOに関することでお困りの際はお気軽にご相談ください。
ISO審査員がお答えします。

小林 卓慈
小林 卓慈ISO審査員

一審査員として、社会貢献ができるよう努めてまいります。 また、営業面ではお客様にとって、より良い提案ができるよう、お客様とのコミュニケーションを大事にしております。

お問い合わせはこちら
お問い合わせはこちら
お見積もり依頼 お問い合わせ

Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial