ISO27001 COLUMNISO規格の知識コラム(ISO27001)
ISO27001 コラム
ISMSの内部監査とは、企業が構築した情報セキュリティマネジメントシステムがISO27001の要求事項や自社のルールに適合しているかを確認する仕組みです。
さらに、セキュリティ対策が実際に有効に機能しているかどうかを点検する役割も持ちます。
外部審査の前段階で自らをチェックするプロセスであり、ISMSを継続的に改善・維持するために不可欠な活動です。
目次
ISMSの内部監査は、システムを維持していくために年1回以上実施することが求められています。
これは、1年ごとの維持審査や3年に1度の更新審査の際に、その期間分の内部監査記録を提出する必要があるためです。
内部監査の目的は、単なる形式的な点検ではなく、次の2点を確認することにあります。
ISMSではこれら情報資産を適切に管理することが目的であり、まずは自社が持つ情報資産を正確に把握することが重要です。
これらをチェックし、必要に応じて改善につなげることが重要であり、内部監査はPDCAサイクルの「C(Check)」に相当する役割を果たします。
ISMSの内部監査は、システムが適切に機能しているかを確認するために実施され、その中心となるのが「適合性」と「有効性」の2点の判定です。
具体的には、管理対象の情報資産が十分に保護されているか、新たなセキュリティリスクとなる要素が存在していないかなどをチェックします。
これにより、内部監査は単なる書面確認ではなく、実際にセキュリティ体制が有効に機能しているかを見極める重要なプロセスとなります。
ISMSの内部監査は、計画的に段階を踏んで進めることが重要です。
内部監査員の選定から計画立案、実施、報告書作成までの流れを整理して解説します。
内部監査員は、原則として監査対象の部門に所属している人は選べません。
これは監査の客観性や公平性を確保するために重要なルールです。
人選を誤ると内部監査の信頼性が損なわれるため、適切な選定が不可欠です。
また、監査員にはISMSの知識や規格理解に加え、質問力や観察力などの監査スキルも求められます。
そのため、選任後には研修や教育を通じて監査員の育成を行うことが望まれます。
内部監査を効果的に行うためには、事前準備として計画をしっかり立てることが重要です。
まず監査で使用するチェックリストを作成し、必要な確認項目を整理します。
あわせて監査の日程と対象部門を確定させることで、関係者が事前に準備できるようにします。
さらに、スムーズに実施し協力体制を整えるためには、内部監査員と監査対象部門が計画や日程について合意しておくことが欠かせません。
これにより監査の質と効率が向上します。
内部監査の実施では、文書のレビュー、関係者へのインタビュー、現場での観察などを行い、実態を多角的に確認します。
その際、ISMSが形骸化しないよう「有効性」と「適合性」を特に意識することが重要です。
監査は客観性を保つことが大前提であり、チェックリストに沿って進めることで漏れや抜けを防げます。
また、適合事項と不適合事項の双方について、その根拠を明確に記録しておく必要があります。
内部監査の結果は報告書にまとめ、監査の目的、範囲、方法、結果を明記します。
その中で、問題点や改善点があれば具体的に指摘し、不適合事項が見つかった場合には是正処置を求め、改善につなげることが重要です。
この報告書は企業トップによるマネジメントレビューに活用され、組織全体での改善を推進する役割を果たします。
また、維持審査や更新審査の際にも提出が必要となる重要な文書です。
ISMSの内部監査員に資格は必須ではありませんが、資格取得は必要な知識を体系的に学ぶきっかけとなり、一定の理解を持つ証明にもなります。
代表的な例として「ISMS審査員資格」があり、学歴・業務経験・監査経験などの要件を満たしたうえで研修コースを受講し、試験に合格する必要があります。
有効期限は3年で更新が必要です。
そのほか、企業が実施する研修を修了することで認定資格を得られる場合もあります。
内部監査員の育成は、社内で研修を行う方法に加え、外部の研修を受講させる方法もあります。
外部研修は知識習得だけでなく、監査の進め方における個人差やブレを防ぐ効果も期待できます。
多くの企業が研修コースを提供しており、日数や形式(対面・オンライン)など条件を比較して選択可能です。
費用は内容によって異なりますが、おおよそ5万円前後が目安となります。
ISMSの内部監査を機能させるには、手順だけでなく体制づくりも重要です。責任者の職位や人選の公平性、組織全体への理解浸透がポイントとなります。
内部監査員を選定する際は、監査対象と接点のない人を選ぶことが原則です。
専門部署がない場合でも、かかわりのある人を選んでしまうと公平な監査が難しくなり、客観性が損なわれる恐れがあります。
また、指摘や改善提案が人間関係に影響し、社内の協力体制を悪化させるリスクもあります。
接点のない人を監査員とすることで、こうしたリスクを回避し、公平な監査を実現できます。
内部監査を効果的に機能させるためには、従業員一人ひとりの理解が欠かせません。
理解が不足していると、改善の取り組みに抵抗感が生じ、監査結果を受け入れにくくなるリスクがあります。
逆に、監査の重要性を共有できれば、監査への協力を得やすくなり、改善提案も前向きに受け止められます。
その結果、日常業務の中でのセキュリティ運用が形骸化するのを防ぎ、ISMS全体の有効性を維持することにつながります。
ISMSの内部監査は、年1回以上の実施が求められる重要なプロセスで、規格や社内ルールの「適合性」と運用の「有効性」を確認し、改善につなげる役割を担います。
内部監査員の公平な選定や計画立案、実施、報告書作成が基本の流れであり、チェックリストを活用することで漏れを防げます。
さらに資格取得や研修を通じて監査スキルを高め、全体の理解を浸透させることで、ISMSの継続的な改善と形骸化防止に直結します。
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