ISO27001 COLUMNISO規格の知識コラム(ISO27001)
ISO27001 コラム

ISMS認証の取得を検討する際に、最も気になるのが「どのくらい費用がかかるのか」という点です。
ISMSの導入には、コンサルタント費用や審査費用、社内での人件費、システム導入などさまざまなコストが発生します。
本記事では、これら費用の内訳と目安をわかりやすく解説するとともに、コストを抑える方法や助成金制度の活用ポイント、さらに認証取得によって得られる具体的なメリットまで紹介します。
ISMS認証の取得には、複数の費用が発生します。以下、それぞれの内訳を詳しく見ていきましょう。
ISMS認証の取得では、コンサルタントに依頼して支援を受けるケースが一般的です。
必須ではありませんが、専門的な知識をもとに効率的な構築や審査対策が可能になります。
その際はコンサルタント費用が発生し、料金は諸条件によって異なりますが、新規取得の場合の目安は約50万~100万円で、相見積もりを取って比較することが推奨されます。

詳しくは以下の記事をご覧ください。
ISO27001(ISMS)のコンサルタント費用は?取得・運用の両方について解説 – ジーサーティ・ジャパン
ISMSの登録審査費用は、依頼する審査機関によって料金が異なります。
金額は企業規模(従業員数・拠点数)や業種によって変動し、目安は50万~200万円程度です。
以下の表は従業員数別の費用相場を示したものです。コンサルタント費用と同様、複数の審査機関から相見積もりを取ることで、適正な費用を把握できます。

ISMS認証の取得では、外部費用だけでなく社内の人件費も見落としてはいけません。
たとえば月給30万円の社員が半年間ISMS関連の業務に専念した場合、30万円×6か月=180万円が取得に伴う人件費となります。
文書整備や内部監査の準備、教育など多くの業務が社内で発生するため、その時間的コストも考慮が必要です。
取得後の運用や維持にも継続的な労力が求められるため、人件費を軽視せず計画的に見積もることが重要です。
ISMSを構築するにあたっては、脆弱性対策としてのシステム改修やセキュリティ対策ツール導入などが必要となるケースがあります。
また、従業員に対するセキュリティ教育のために教材(研修・Eラーニング等)コストがかかる場合もあります。
ただしこれらは必ずかかるコストではなく、既存の社内リソースのみでISMSを構築することも十分可能です。
ISMS認証の取得には一定の費用がかかりますが、工夫次第でコストを抑えることも可能です。重要なのは、無理に安くすることではなく、自社に必要な範囲で最適なコスト配分を行うことです。
本章では、審査やコンサルタントへの依頼にかかる費用を賢く抑えるための具体的な方法を紹介します。
相見積もりの活用、自社に合ったコンサルタント選び、助成金制度の利用といった実践的なポイントを順に見ていきましょう。
ISMS認証の取得にかかる費用を抑えるうえで、相見積もりを取ることは非常に有効です。
コンサルタント会社を選ぶ場合も、審査機関を選定する場合も、同じ条件で複数社に見積もりを依頼することで、費用や支援内容を客観的に比較できます。
ただし、金額の安さだけで判断するのは危険です。対応の質やサポート体制、担当者の知識・経験なども総合的に見極めることが、最終的なコスト削減とスムーズな取得につながります。
コンサルタントを選ぶ際は、自社の業界や業務内容に精通しているかを重視しましょう。
コンサルタントには得意分野があり、同業種の支援実績が多い場合、業界特有のリスクや必要書類の傾向を理解しているため、スムーズに対応できます。
結果として、不要な手戻りや時間の浪費を防ぎ、短期間での認証取得につながる可能性が高まります。
効率的にプロジェクトを進められれば、その分コストの削減にも直結します。
ISMS認証の取得や情報セキュリティ関連ツールの導入には、助成金制度を活用できる場合があります。
制度ごとに条件は異なるため、自社が対象となるかを事前に確認しましょう。自治体によってはISO取得を支援する制度があり、たとえば東京都の「ISO取得支援事業」や「サイバーセキュリティ対策促進助成金」が代表的です。
また、国の「IT導入補助金2025」も該当するケースがあります。積極的に調べ、活用することで費用負担を大幅に軽減できます。
ISMS認証の取得は費用や手間がかかる一方で、企業にも多くのメリットがあります。
ここでは、認証によって得られる代表的な効果を紹介します。
ISMS認証を取得することで、取引先や顧客からの信頼が高まり、新たなビジネス機会の拡大につながります。
入札の参加条件としてISMS認証が求められるケースも多く、取得企業は提案可能な案件が増加します。
「ISMS適合性評価制度に関するアンケート調査」(情報マネジメントシステム認定センター・2024年)では、「顧客からの信頼確保に貢献した」(75.4%)、「企業イメージ向上」(87.4%)、「営業上、同業他社に対する優位性の確保に貢献した」(75.4%)などの回答が得られています。
参考)
ISMS適合性評価制度に関するアンケート調査報告書を公開しました
ISMS認証を取得することで、情報セキュリティ上のリスクによる損失を未然に防ぐ効果が期待できます。
前述の「ISMS適合性評価制度に関するアンケート調査」(情報マネジメントシステム認定センター・2024年)でも、「セキュリティレベルが期待値に達した」(93.3%)、「管理体制が強化できた」(98.3%)、「インシデント発生の抑制に効果があった」(90.6%)との結果が示されています。
万が一トラブルが起きても、被害を最小限に抑えられる体制づくりにつながります。
ISMSを構築する過程では、業務プロセスを整理・文書化するため、業務全体の流れが可視化されます。
その結果、属人化していた作業や無駄な手順が明らかになり、業務の合理化や改善のきっかけとなります。
さらに、情報の扱い方や管理手順が明確に定められることで、都度判断する手間が減り、作業効率が向上します。
ISMSはセキュリティ強化だけでなく、業務改善や生産性向上にも効果を発揮する仕組みといえます。

ISMS認証は取得費用だけでなく、運用を続けるための維持・更新費用も必要です。

ISMS認証を取得した後は、1年後・2年後に「維持審査」が行われ、その都度費用が発生します。
費用の目安は、初回取得審査の約3分の1程度です。(ただし、支援内容により異なります)。
運用を継続するうえでコンサルタントを活用する場合は、年間30万~50万円程度が一般的です。
また、社内担当者の人件費も考慮が必要で、担当者がどの程度の時間をISMS業務に充てるかによってコストは変動します。

ISMS認証は、3年に1度の「更新審査」を受けて合格することで継続が認められます。
更新審査の費用は、初回取得費用のおよそ3分の2が目安です。
更新に向けてコンサルタントへ支援を依頼する場合、その費用も発生します。
また、社内担当者の人件費も考慮が必要です。ただし、担当者が経験を積みノウハウを蓄積すれば、コンサルタントに頼らず自社で対応できるようになるケースもあります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
ISMS(ISO27001)認証の更新方法と費用をまとめて解説【維持審査・更新審査】
ISMS認証の取得には、コンサルタント費用や審査費用、社内人件費などさまざまなコストが発生しますが、相見積もりの活用や助成金制度の利用などで費用を抑えることも可能です。
取得後は、維持審査や更新審査といった継続的な費用も見込む必要があります。ISMSは取引拡大や信頼向上、リスク防止など多くの効果をもたらす投資です。
自社の目的に合わせて、無理のない計画を立てることが重要です。
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