ISO9001 COLUMNISO規格の知識コラム(ISO9001)

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ISO9001取得の難易度は高くない!

2025.12.15
ISO9001取得の難易度は高くない!

この記事の3つのポイント

  1. ISO9001取得の難易度は、以前は高かったが現在は下がっている
  2. ただし自力で取得することは労力が必要となる
  3. コンサルタントや認証機関の選び方でも難易度は変わる

ISO9001の取得に対して、「難しそう」「大企業でないと無理」といった印象を持つ人は多いのではないでしょうか。
しかし、2015年度版の改訂以降は規格の柔軟性が高まり、実際には中小企業でも十分に取得可能です。
ただし、自力での取得は依然として手間がかかり、コンサル会社や認証機関の選び方によっても難易度は変わります。

この記事では、ISO9001取得の実際の難易度と、成功のポイントを整理します。

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ISO9001取得の難易度は高くない

ISOと聞くと「取得が難しい」といった印象を持たれがちです。
確かに、かつては文書作成や手順の厳守など、大企業並みの対応が求められる時代もありました。
しかし、近年の改訂により基準はより実務的・柔軟なものに変化し、中小企業でも取り組みやすくなりました。

では、なぜISO取得の“難易度”が下がったのか。その理由を次の項目で見ていきましょう。

形式的な基準から実践的な基準への改訂

かつてのISO9001は、文書作成や手順の厳密な運用など、形式的な対応が重視されていたため、取得の負担が大きく、難易度も高いものでした。しかし、2015年の改訂で「形骸化を避けること」が強く打ち出され、実務に即した基準づくりが求められるようになりました。

文書に関しても柔軟性が高まり、必要な範囲・様式で管理できるようになったため、自社の業務プロセスをベースにシステム構築がしやすくなり、結果として取得の難易度が下がりました。

詳しくは以下の記事でも解説しています。
ISO9001は意味ない?よくある理由と自社に原因がある場合の改善策も解説

審査員の対応の変化

以前のISO9001では形式的な基準が重視されていたため、実務とかけ離れていても「規格に合わせる」ことを強く指導されるケースがありました。しかし現在は、審査員に求められる要求事項が変わり、現場の実態を踏まえた判断が重視されるようになっています。

そのため、審査員の対応も柔軟になり、過度に形式に縛られない運用が認められるようになったことで、取得の難易度は以前よりも下がっています。

ただし自力取得は労力が必要

ISO9001そのものの難易度は下がっていますが、“自力取得”となると一定の労力が必要になります。
自社だけでシステムを構築しようとする場合は、次のような点を留意しましょう。

自社でQMSを構築する場合の留意点

詳しくは以下の記事でも解説しています。
ISO9001の要求事項とは?わかりやすいコンパクトなまとめ【具体的内容と原則だけ】

難易度に影響を与える要素

前章で解説したように、自力取得は「時間と手間が大きい」という点でハードルが高くなりがちです。
そのうえ、コンサル会社の使い方や選び方、認証機関の違いによっても取得の難易度は大きく変わります。

ここからは、それぞれの要素がどのように影響するのかを整理していきます。

コンサル会社を利用するか?自力取得するか?

ISO9001は、自力取得を選ぶと難易度が高くなるケースがほとんどです。
要求事項を満たしながら、自社にマッチした仕組みを構築する作業は、専門知識がないと非常に負担が大きく、実務と並行して進めるのは容易ではありません。

そのため、コンサル会社のサポートを利用すれば取得難易度は大きく下がります。
ただし、次に説明するように 「どのコンサルを選ぶか」 によっても難易度が変わるため、選定が重要です。

コンサル会社の選び方

ISO9001の取得難易度は、どのコンサルを選ぶかで大きく変わります。
コンサルを二分すると「代行型」と「アドバイス型」があり、実務を任せられる代行型のほうが難易度を下げやすいと言えます。

一方、アドバイス型は実際の作業を自社で行う必要があり、負担は大きくなりがちです。
特にアドバイス型のなかでも年配のコンサルタントには注意が必要で、形式的で労力の大きい“古いISO的な考え方”を持っているケースがあります。

もちろん人によるため、実績や運用方針をチェックし、自社に合うコンサルを選ぶことがポイントです。

認証機関の選び方

どの認証機関を選ぶかでも取得難易度は変わります。
現状の業務プロセスをベースにしたQMS構築・運用を認め、柔軟な審査をしてくれる認証機関を選ぶことが大切です。

一方で、認証機関によっては難易度が高くなるケースもあり、次のような特徴がある場合は注意が必要です。

難易度が高くなる認証機関の特徴

いずれも認証機関ごとに審査方針は異なるため、自社の規模や業務内容に適した機関を選ぶことで、取得難易度を下げることが期待できます。

その他(コンサル利用有無、認証機関に関わらず)

ISO9001の取得難易度は、企業自身の条件によっても変わります。

・業務内容が複雑なほど、プロセスの棚卸しや手順の整理など、システム構築に関わる作業工程が増える
・適用範囲や従業員数、事業規模などが大きくなるほど、仕組みづくりに必要な作業量が膨らむ
・管理すべき文書の数も増え、維持・更新の負担が大きくなる
・審査日数も増え、準備にも手間がかかる

これらの要因が重なることで、取得難易度は高まります。

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まとめ

ISO9001の取得は、かつてのように形式的で重い作業ではなくなり、実務に即した柔軟な基準への改訂によって、中小企業でも取り組みやすくなっています。

一方で、自力取得には要求事項の理解や仕組みづくり、文書管理など、時間と手間がかかるのも事実です。
また、コンサル会社や認証機関の選び方によっても難易度は大きく左右されます。
そのため、自社の状況に合ったサポートや審査機関を選ぶことで、ISO9001取得はより現実的で進めやすいものになります。

重要なのは、「いまのISO9001は、正しい選択をすれば着実に取得できる」という視点です。

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小林 卓慈
小林 卓慈ISO審査員

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