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ISO14001の改訂予定について総まとめ【2025年5月現在】内容・準備

2025.05.26
ISO14001の改訂予定について総まとめ【2025年5月現在】内容・準備

この記事の3つのポイント

  1. ISO14001の改訂の時期は2026年1月が有力
  2. 今回は増補改訂で、大規模な改定ではないとの見通し
  3. 対処は変更内容が判明してからがよいが、あらかじめ内容の整理をしておくとスムーズ

企業が環境負荷の低減を目指すうえで、ISO14001は欠かせない指針となっています。

この規格は、業種や企業規模にかかわらず適用できる柔軟性を持ち、長期的かつ体系的な環境改善活動を支える枠組みとして広く活用されています。そんなISO14001が、近い将来改訂される予定です。

この記事では、ISO14001の改訂について、時期や想定される内容、これまでの流れなど2025年5月末時点の最新の情報を解説します。企業のご担当者様はご参考にしてみてください。

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ISO14001改訂予定は2026年1月?

現時点では2026年の1月に改訂版が発行されるのが有力とされております。

ISOの改正作業は2023年8月から始まり、2025年10月まで続く予定となっております。
その後、2025年12月には最終国際規格案が発行され、翌月に新バージョンが正式に発行される見込みです。

正式な発表はまだされていませんが、改訂案のドラフトが公開される可能性もあるため、企業は早めの情報収集と準備が求められます

ISO14001の今回の改訂は大幅ではない?

今回の改訂作業は、ISO14001全体に対する包括的な改訂を実施するのではなく、現行バージョンの補完に焦点を当てるのが目的とされております。

具体的には、既存の規格を大幅に変更するのではなく、現行バージョンで指摘された改善点や不足している事項を取り入れる形で、必要な部分だけを精査し補完する方向性が採用されました。

想定される変更内容については、以下で解説いたします。

想定される変更内容

現時点では詳細な変更内容についてのアナウンスはされていませんが、改訂草案で提案されている変更点は以下の通りとなっております。

想定される変更内容

ISO14001改訂前にしておくべきこと

内容の変更は改訂された詳細が交付されてから実施していただくことをおすすめします。
現時点では後の対応が楽になるように文書などを整理整頓し、改定に向けて準備をすすめておくことが重要です。
以下に準備をすすめておいた方がいいことをリストアップしていくので、ぜひご参考にしてみてください。

既存の内容の整理

まずは、利用されていない内容の洗い出しと削除を行うことをお勧めします

既に使用されなくなっている部分や古いために現状にそぐわない記述を整理することで、全体の精度や一貫性を高めることが可能となります。また、無駄な情報をあらかじめ省いておくことで、将来的に改訂があった際に確認・対応の作業をスムーズに進めることができます。

ISO9001など他の規格も取得している場合、マニュアルや手順書を統合して一元管理することにより、重複する部分を排除できます。
これにより、後の修正作業が削減されるだけでなく、内部監査や外部の審査時にも迅速な対応が可能となり、信頼性や文書管理体制の向上にも寄与します。

項番順に並べ替え

既存のマニュアルや手順書を各規格に従った項番に合わせ、体系的に整理しておくことは、いざ改定内容が確定し、手直しや修正作業が必要になった場合に迅速かつ正確な対応を可能にする基本的な取り組みとなります。

整理された文書は、該当箇所の特定が容易であるだけでなく、改訂作業自体の工数を大幅に削減し、全体としての業務効率の向上に寄与します。

また、改定時の訂正作業だけでなく、審査や監査時の確認作業もスムーズに進めることができるため、事前に文書整理を徹底することは、組織の信頼性や品質管理の向上にも直結します。

気候変動への配慮について

2024年2月に施行された追補改正では、気候変動と各業務との関連性を評価し、利害関係者からの期待に応えるための具体的な指標が示されました。

もし自社にとって気候変動の影響が認められる場合、まずは事業活動に及ぼすリスクや潜在的な機会を詳細に特定することが不可欠です。

その上で、リスクアセスメントを強化し、緊急時の対策計画の見直しや持続可能な経営手法の導入など、追加すべき取り組みを実施する必要があります。こうした対策により、将来的な環境変化に柔軟に対応できる体制が整えられ、企業価値の向上とリスクの最小化を同時に実現することが可能となります。

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ISO14001改訂の進行状況

ISO規格の改訂作業は、以下の6段階に分けて計画的に進行されます。

改訂作業ステップ

2025年5月現在、国際標準化機構の公式サイト(https://www.iso.org/standard/87363.html)の最新情報によると、ISO規格の改正や追加に関する文書「DAmd」の2回目が開発中であり、このプロセスの内訳では「4.照会段階」に該当しています。

2026年1月に新バージョンの発行が予定されているとの見通しもありますが、現時点では確定情報ではなく、発行時期に関しては2025年10月、2026年9月など異なる説も存在するため、最新の情報を注視する必要があります

ISO14001改訂の背景

ISOは、社会的な情勢や市場ニーズの変化に柔軟に対応するため、基本的に5年に1度のペースで体系的な見直しが行われています。これは、最新の動向や技術革新、さらには消費者の期待を的確に反映させるための取り組みともいえます。

今回の改訂の主な目的は、地球規模で深刻化している環境問題への迅速かつ効果的な対応を実現するために、規格全体を再評価し、具体的な対応策を盛り込む点にあります。

また、規格の明瞭性や一貫性をより一層高めることが狙いとされています。
多くの企業が複数のISOマネジメントシステム規格を同時に運用している現状に鑑み、各規格間の整合性を確保することは、運用上の混乱を避け、効率的な内部管理体制を構築する上でも不可欠です。

ISO14001改訂の履歴

ISO14001は1996年に初めて制定され、その目的は企業が自主的に環境保全に取り組むための枠組みを提供することにありました。当初は、環境法令に頼らない自発的な対策を促すことで、企業が積極的に環境保護活動を展開できるよう支援することを目的としていました。

2004年の改訂では、規定内容の明確化が図られるとともに、品質管理規格であるISO9001との両立性を重視する視点から改訂され、複数のマネジメントシステムを統合して運用する企業にとって効率性と信頼性の向上が期待されました。

さらに、2015年の改訂では他のマネジメントシステムとの親和性をより一層高めることを目指し、時代の要請に応じた柔軟な運用が可能となるよう、実務上の改善点や統合運用のメリットが盛り込まれました。

その結果、環境管理にとどまらず、品質や安全衛生など他分野との連携を強化する基盤として、企業が持続可能な発展を実現するための重要な役割を果たすようになっています。

2015年の改訂については、次の記事で詳しく解説しています。
【ISO9001:2015年度版】要求事項の改正ポイントを分かりやすくまとめました

まとめ

ISO14001の改訂は、今のところ2026年1月という説が有力と考えられています。
具体的な変更内容に関しては今のことろ不明な部分が多いですが、現在のマネジメントシステムを整理しておくことで改訂への対応が楽になります。今のうちに進めておきましょう。

そして改訂に対応することで、自社の管理体制も改善・向上します。ぜひ前向きな姿勢で臨んでください。

認証についての疑問がある場合や、認証機関の変更などをご検討中の場合はジーサーティ・ジャパンにお気軽にご相談ください。

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小林 卓慈
小林 卓慈ISO審査員

一審査員として、社会貢献ができるよう努めてまいります。 また、営業面ではお客様にとって、より良い提案ができるよう、お客様とのコミュニケーションを大事にしております。

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