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ISO9001の改訂は2025年?予定の動向と内容・準備すべきことを解説

2025.05.15
ISO9001の改訂は2025年?予定の動向と内容・準備すべきことを解説

この記事の3つのポイント

  1. ISO9001の改訂は2026年9月と予想される
  2. 具体的な改定内容はまだわからない
  3. 移行期間があるが、期限ギリギリにならないスケジュール設定をしておく

ISO9001が改訂されるとニュースになりましたが、具体的な時期はいつになるのでしょうか。

またどのような内容の変更があるのでしょうか。

現在ISO9001を取得している企業のご担当者様や取得を検討中のご担当者様は気になるところです。

この記事では、ISO9001の改訂について、時期や想定される内容、これまでの流れなど2025年4月末時点の最新の情報を解説します。

企業のご担当者様は参考にしてみてください。

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2025年のISO9001の改訂はなさそう

ISO9001の改訂は当初は2025年末に発行の予定でしたが、2025年4月末現在の情報では遅れる見通しとなっています。今年中の改訂はないと考えてよいでしょう。

最初の草案が2024年4月に発行され、改訂の手順に則って作業が進められていました。
当初はプロジェクトの計画は24か月とされていましたが、その後36か月に延長されました。

そのため2025年末の改訂はスケジュール上不可能と考えられます。

ISO9001の改訂予定は2026年9月?

延期された結果、現在では2025年ではなく2026年9月に新しい「ISO09001:2026」が発行されると考えられています。そのタイミングに合わせて準備を進めていけばよいでしょう。

ただし正式な発表はまだなされていないため、変更になる可能性もあります。

詳しくは後述しますが、移行期間もあるため改訂したらすぐに審査を受けなくてはならないものではありません。
あわてる必要はありませんが、余裕を持ったスケジュールで対応することをおすすめします。

改訂動向と状況の情報

改訂ステップ

次に、改訂の動向と状況の情報について整理します。改訂は以下のステップで進められますが、現在は4に移行する段階です。

  1. 提案段階 (NP:New Proposal)
  2. 作成段階 (WD:Working Draft)
  3. 委員会段階 (CD:Committee Draft)
  4. 照合段階 (DIS:Draft International Standard)
  5. 承認段階 (FDIS:Final Draft International Standard)
  6. 発行段階 (IS:International Standard)

初回のドラフト版がISO中央事務局により拒否され、2025年3月まで第2草案へのフィードバックの受付を行っていました。その後4月に専門家によるコメントがレビューされました。

改定に携わる技術委員会176、第2分科委員会(TC176/SC2)の公式サイトによれば、続いてパブリックコメントを募集するための規格案「DIS」作成へ進みます。この段階は6月ごろと考えられます。

そのうえで意見収集後に集まった意見を反映して最終版を発行する流れとなります。

想定されるISO9001の改訂内容

具体的な改定内容はまだわかりませんが、改訂内容のインプットとされていたのは次の内容です。

想定されるISO9001の改訂内容

上記の内容が変更に含まれる可能性があります。

また公式サイトのニュースによると、3月末から4月初頭の会議では、以下の内容を主要なトピックとしています。

  • 運用と管理
  • インフラストラクチャ
  • 組織知識
  • ビジネス継続性
  • 倫理

やや抽象的ではありますが、これらのトピックも参考になると考えられます。

【確認】気候変動の追補改訂

2024年に、マネジメント規格に「気候変動への配慮」を盛り込む形で追補改訂が行われました。
具体的には,以下の通り2か所に記述が追加されました。

4.1項 組織及びその状況の理解:「組織は,気候変動が関連する課題かどうかを決定しなければならない。」
4.2項 利害関係者のニーズ及び期待の理解:「注記:関連する利害関係者は,気候変動に関する要求事項をもつ可能性がある。」

業種にもよりますが、上記追加事項の対策としては以下の例が挙げられます。

  • 熱中症対策
  • ハザードマップの活用
  • 気候の変化を考慮した商品開発
  • 農園支援・新原料の開発

すでに述べた通り、今回の改訂でも気候変動への対応が含まれる可能性があります
インプットにはカーボンニュートラル脱炭素化とあるので、自社で改善できる点を検討しておくとよいでしょう。
現時点ではまだ具体的に進めることはできませんが、省エネや再生可能エネルギーの導入といった排出量削減、植林や新技術など二酸化炭素の吸収・回収の両面で自社にできることを考えてみてください。

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改訂の背景

新しい改訂の背景としては、以下の点が挙げられます。

まず、ビジネス環境の変化・グローバル化への対応です。ビジネスのグローバルな展開に伴い、共通の品質管理基準の重要度が増しています。その状況に応えることが求められます。

次に技術進化への対応です。新しい技術の登場に伴い、品質管理基準も進化しなくてはなりません。

さらに、持続可能性への関心の高まりも挙げられます。
高まりに伴い企業の社会的責任を品質管理に取り入れることが求められつつあり、その対処のためには変更が必要となります。

そして4つめはユーザーからのフィードバックです。
運用を通じて集まったユーザーの意見を反映させて改訂・改善するためです。

対応すべき内容

改訂に際して対応すべき内容は以下の通りです。

まず、改訂の内容がわかるまでは、マネジメントシステムにムダな内容がないか確認しておきましょう。
さらに必要に応じて削除するなどして整理します。
この整理により、改訂の内容がわかったときに対応する負担を減らすことができるためです。

改訂の内容がわかったら、まず品質マニュアルの項番を新規格の項番に合わせます
変更・運用がスムーズになるためです。

そのうえで改定内容を確認し、現行のマネジメントシステムに修正・変更が必要でないか検討します。
もちろん既存のままでは対応できない場合は修正しなくてはなりません。

さらに新規格で3か月程度を目安に運用し、内部監査員の養成と内部監査実施も行います。
次に詳しく述べますが、審査の時期もかかわってくるので計画的に行う必要があります。

対応の移行期間

移行期間は通常3年です。
そのため、遅くとも3年以内に新規格での審査に合格する必要があります。
改訂したマネジメントシステムでの運用、内部監査員の養成、内部監査の実施を考えると8か月~1年前に改訂作業を始めるようにしましょう

移行期限ギリギリに審査を受けると手続きが終了期限に間に合わないリスクがあります。
最終年度は避けた方がリスクを減らせるためおすすめです。

仮に新規格で審査が通らなかったとしても、従来規格でいったん認証を継続できます。
翌年再びチャレンジすればよいので 万が一の場合のリスクヘッジになります。

このように、トラブルを未然に防ぐためにも少なくとも直前は避けましょう。
遅くとも期限の3か月ぐらい前には審査を受けるスケジュールで進めてください。

【参考】2015年改訂の変更点

参考に、前回2015年改訂時の変更点についておさらいしておきます。

文言化要求が少なくなったのが大きな違いです。
たとえば、品質マニュアル、予防処置手順などの明確な文書化の要求がなくなりました。

そのほか以下の4点が変更のポイントとなりました。

  • 要求事項が追加され、品質マネジメントシステム要求事項を事業プロセスに統合することをトップマネジメントに対して求める
  • 品質マネジメントシステムの計画機能の充実
  • 実際の業務の流れに沿った、マネジメントシステムの構築
  • マニュアル作成の要求事項が「文書化した情報」として表現され、要求事項が緩和されるとともに自律的に品質マネジメントシステムを計画・運用することが求められる

詳しくは以下の記事で解説しています。ご確認ください。
【ISO9001:2015年度版】要求事項の改正ポイントを分かりやすくまとめました

これまでの改訂履歴の歴史

これまでの改訂履歴についても振り返っておきましょう。

初版(1987年)は、製造業中心に品質管理の標準化を図るのが目的とされました。
その後、1994年、2000年、2008年、2015年に改訂が行われています。

2000年の改訂は大幅な改定となりました。
プロセスアプローチとPDCAの導入により、体系的・効果的な品質管理を目指す内容でした。
ほかの年度の変更も、時代のユーザーやニーズに対応するような改訂です。

改訂に対応していくことで、品質管理も時代にマッチした内容にブラッシュアップされていきます。
次の改訂にもしっかり対処しましょう。

詳しくは以下の記事で解説しています。ご確認ください。
ISO9001の歴史を知ろう – ジーサーティ・ジャパン

まとめ

ISO9001の改訂は、2026年9月と考えられています
具体的な変更内容はそれまでわかりませんが、現在のマネジメントシステムを整理しておくことで改訂への対応が楽になります。
今のうちに進めておきましょう。

そして改訂に対応することで、自社の管理体制も改善・向上します。
ぜひ前向きな姿勢で臨んでください。

認証についての疑問がある場合や、認証機関の変更などをご検討中の場合はジーサーティ・ジャパンにお気軽にご相談ください。

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小林 卓慈
小林 卓慈ISO審査員

一審査員として、社会貢献ができるよう努めてまいります。 また、営業面ではお客様にとって、より良い提案ができるよう、お客様とのコミュニケーションを大事にしております。

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