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ISO42001とは?AIマネジメントシステムをわかりやすく解説【2026年最新】

2026.04.14
ISO42001とは?AIマネジメントシステムをわかりやすく解説【2026年最新】

この記事の3つのポイント

  1. AIを業務に取り入れている企業が増えている
  2. AIをどこまで業務に取り入れていいのか悩んでいる企業が多い
  3. AIマネジメントシステムの国際基準ではどうなっているのかがわかる

近年、人工知能(AI)はあらゆる情報技術分野で急速に応用が進んでおり、経済を活性化する主要な要素として期待されています。しかし一方で、特定の用途において社会的な問題を引き起こす可能性も懸念されています。
このような背景から、組織が責任をもってAIシステムを開発・提供・利用するための枠組みとして注目されているのがISO/IEC 42001(AIマネジメントシステム)です。

本コラムでは、2025年8月に制定された日本産業規格(JIS Q 42001:2025)の内容も踏まえ、ISO42001の概要や導入の重要性についてわかりやすく解説します。

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ISO 42001(JIS Q 42001)とは?

ISO/IEC 42001は、2023年に第1版として発行されたAI(人工知能)マネジメントシステムに関する国際規格です。
日本国内においては、この国際規格を基に技術的内容や構成を変更することなく、2025年8月20日に「JIS Q 42001:2025」として制定されました。
この規格は、組織の状況に合わせてAIマネジメントシステムを確立し、実施、維持、そして継続的に改善していくための要求事項を規定したものです。

組織がAIシステムを活用する際、責任ある役割を果たせるよう支援することを目的としています。

なぜ今、ISO 42001が重要なのか?

従来のITシステム管理の枠組みだけでは、AI特有のリスクや課題に対応しきれないためです。

規格内では、AIが提起する特有の懸念事項として以下の点が挙げられています。

なぜ今、ISO 42001が重要なのか?

これらのAI特有の課題に対処しつつ、イノベーションの推進とガバナンスの仕組みの適切なバランスをとるために、ISO 42001の枠組みが不可欠となっています。
ISO 42001では、トップマネジメントによる「AI方針」の策定やリーダーシップのコミットメントをはじめ、多くの実践的な要件が定められています。

中でも特に重要な3つのプロセスについて以下、解説します。

AIリスクアセスメントとAIリスク対応とは?

AIシステム インパクトアセスメントとは、JIS Q 42001(ISO/IEC 42001)における「AIリスクアセスメント」と「AIリスク対応」は、AIシステムに関わるリスクを適切に管理するための連続した中核プロセスです。

それぞれの具体的な内容は以下の通りです。

AIリスクアセスメント(リスクの評価プロセス)

組織のAI方針や目的に基づき、一貫性があり比較可能な結果を生み出すように設計されたリスク評価のプロセスです。
以下のステップで行われます。

●リスクの特定
組織のAIの目的達成を助けるリスク、または達成を妨げるリスクを特定します。

●リスクの分析
特定されたリスクが実際に顕在化した場合に、
「組織、個人、および社会に起こり得る結果(影響の大きさ)」と「発生の起こりやすさ」をアセスメントし、リスクのレベルを決定します。
この結果を評価する際、「AIシステム インパクトアセスメント」の結果を活用することが可能です。

●リスクの評価
分析したリスクレベルを組織があらかじめ確立したリスク基準と比較し、その後の「リスク対応」のためにリスクの優先順位付けを行います。
※このアセスメントは、あらかじめ定めた間隔(定期的)や、システムや状況に重大な変更が生じた場合に実行し、結果を文書化して保持しなければなりません。

AIリスク対応(リスクへの対処プロセス)

リスクアセスメントの結果を受けて、優先順位付けされたリスクにどのように対処するかを計画し、実行するプロセスです。
対応策と管理策の決定: 適切なAIリスク対応の選択肢を選定し、それを実施するために必要な「管理策(コントロール)」を決定します。

この際、規格の「附属書A(参考となる管理策)」のリストと比較照合し、必要な管理策が見落とされていないかを検証します。

●適用宣言書の作成:
選択した管理策を含めた理由、または含めなかった理由(リスクが低いため除外した等)を示す「適用宣言書」を作成します。

●計画の策定と承認:
「AIリスク対応計画」を策定し、その計画の実行内容や、対応後も残るリスク(残留リスク)を受容することについて、指定されている管理層から承認を得なければなりません。

●実行と有効性の検証:
リスク対応計画を実行に移し、その有効性を検証します。もし対応策が効果的でなかった場合や、新たなリスクが特定された場合には、リスク対応計画をレビューし、更新する必要があります。

これらの一連のプロセスを通じて、組織はAIに特有のリスクを特定し、適切な安全対策(管理策)を事業に組み込むことが求められます。

AIシステム インパクトアセスメントとは?

AIシステム インパクトアセスメントとは、AIを活用した製品やサービスを開発・提供・利用する組織が、個人、個人の集まり、および社会に対してAIシステムが与え得る「潜在的な結果(インパクト)」を特定し、評価し、対処するための正式に文書化されたプロセスのことです。

評価の対象と範囲
AIシステムの展開や意図した利用だけでなく、「合理的に予見可能な誤用」から生じる可能性のある結果(プラスおよびマイナスの両方)を評価します。

考慮すべき具体的な影響
AIシステムが以下の項目にどのような影響を与えるかを評価することが求められます。
・個人の法的地位や生活における機会
・個人の身体的または心理的ウェルビーイング(健康や安全)
・普遍的人権、公平性、プライバシー、アクセシビリティ
・社会全体への影響(環境の持続可能性、経済、政府・刑事司法制度、社会規範や伝統など)

実行のタイミングと条件
あらかじめ定めた間隔で定期的に実施するほか、AIシステムに重大な変更が提案された場合や重大な変化が生じた場合にも実行しなければなりません。具体的には、利用状況の重要性の変化、AI技術の複雑さや自動化レベルの変更、処理するデータの機微性(プライバシーなど)の変更があった場合が含まれます。

プロセスの構成要素
アセスメントのプロセスには、インパクトの「明確化(情報源や結果など)」「分析(結果と起こりやすさ)」「評価(受容の判断や優先順位付け)」「対応(軽減策)」「文書化と報告」が含まれます。

結果の活用
インパクトアセスメントの結果は必ず文書化して保持し、組織の「AIリスクアセスメント」において考慮しなければなりません。また、マイナスの影響を回避するために、システムに対してどの程度「人間によるオーバーサイト(監視)」が必要かを判断する際にも役立てられます。

なお、JIS規格において「影響分析」ではなくあえて「インパクトアセスメント」という言葉が採用されている背景には、AIシステムが与える「衝撃」や影響の大きさを組織にしっかり認識してもらうという意図が込められています。

AIシステム インパクトアセスメントとは?

JIS Q 42001(ISO/IEC 42001)における「資源の文書化」と「データ品質の管理」は、AIシステムを安全かつ責任を持って開発・運用するための非常に重要なプロセスです。

それぞれ具体的に以下のような内容が求められます。

資源の文書化

AIシステムを構成する様々な「資源」を特定し、文書として記録・管理することです。これにより、組織はリスクや個人・社会への潜在的な影響(インパクト)を正確に把握できるようになります。

対象となる主な資源は以下の通りです。

●データ資源
AIの学習や運用に利用するデータそのものです。データの来歴、データのカテゴリー(訓練用、テスト用など)、意図した用途、データの品質、データに含まれる既知のバイアス(偏り)などを文書化します。

●ツール資源
AIシステムを構築・実行するためのアルゴリズム、機械学習モデル、データ調整ツール、評価手法などです。
システム及び計算の資源: AIを動かすためのハードウェア、ネットワーク、ストレージ、およびそれらが配置される場所(オンプレミスやクラウドなど)を指します。

●人的資源
AIの開発、展開、運用、監視(オーバーサイト)などに必要な専門知識を持った人材(データサイエンティストや各分野の専門家など)です。

データ品質の管理

AIシステムの出力結果や有効性は、学習や運用に用いる「データの品質」に大きく依存するため、ライフサイクル全体を通じてデータを適切に管理することです。

具体的には以下の対応が求められます。

●データ品質の要求事項の定義
AIシステムが意図した目的を果たすために必要なデータの品質基準を定め、実際に使用するデータがその基準を満たしているかを確認します。

●バイアス(偏り)への配慮
データの偏りがシステムの公平性に悪影響を与える可能性があるため、バイアスの影響を考慮し、必要に応じてデータを調整します。

●データの来歴(出所)の管理
ライフサイクル全体にわたって、データの作成、更新、移転などの「来歴」を記録し、出所や変更履歴を追跡できるようにします。

●データ準備の記録
AIでデータを扱えるようにするための準備作業(データのクリーニング、欠損値の補完、正規化など)の基準や手法を定め、文書化します。

これらを徹底することで、「AIがどのようなデータやツールを使って、誰によって作られ、動いているのか」が透明化され、意図しないリスクや不公平な判断を防ぐことにつながります。

他のマネジメントシステム(ISO 27001など)との統合はできるの?

他のマネジメントシステム(ISO 27001など)との統合は十分に可能です。

ISO/IEC 27001(情報セキュリティ)
AIシステムにおいてもセキュリティは極めて重要です。
AIマネジメントシステムと上位構造が共通しているため統合が容易であり、AI特有の脅威に対するセキュリティ対策を既存の枠組みに組み込むことで、組織にとって大きな便益をもたらします。

ISO 9001(品質マネジメント)
ISO 9001と連携させることで、組織やAIシステムに対する顧客からの信頼レベルを大幅に強化できます。
ソフトウェア開発やリスクマネジメント、サプライチェーンの一貫性といった要求事項を補完し合うことができます。

AIシステムは単独の技術として存在するわけではなく、システム全体として機能します。
そのため、安全性やセキュリティ、プライバシーなどを個別に管理するのではなく、これらのマネジメントシステム規格と統合して全体的に管理することが、責任あるAIの開発と利用において不可欠とされています。


AIプロデューサーや提供者など、組織の役割別の責任は?

JIS Q 42001(ISO/IEC 42001)では、組織がAIシステムに対してどのような役割を担っているかを決定し、ライフサイクル全体で適切な責任の割り当てを行うことが求められています。
規格では、AIに関する組織の役割として主に以下が挙げられています。

AI提供者
AIプラットフォーム、AI製品またはサービスの提供者

AIプロデューサー
AI開発者、設計者、オペレーター、テスト実施者、展開者、調達者など

AI顧客
AIシステムの利用者を含む顧客
AIパートナー: データ提供者やAIシステムインテグレーターなど

AIプロデューサーやAI提供者(開発・供給する立場)としての責任

責任ある開発の実施: 組織がAIシステムをサードパーティ(顧客など)に供給する場合はAIシステムの開発に対して責任あるアプローチをとることを確実にしなければなりません。

適切な情報・文書の提供: 顧客やサードパーティなどの利害関係者に対して、AIシステムに必要な適切かつ十分な技術文書類を提供する責任があります。

顧客の利用リスクへの対応: 顧客の期待とニーズを考慮し、顧客がAI製品・サービスを利用する際に関連するリスクを特定する必要があります。
その上で、システムが有効な領域の制限を伝達するなど、顧客自身がリスクに対応可能となるように適切な情報を提供する責任があります。

AI顧客(調達・利用する立場)としての責任

●供給者の管理と評価
サードパーティ(供給者)からデータセット、アルゴリズム、ソフトウェアなどを調達する場合は、供給者が提供するサービスや製品が、自組織の「責任ある開発・利用へのアプローチ」と整合しているかを確認するプロセスを確立する責任があります。

●是正処置の要求
供給者から提供されたAIシステムが意図どおりに機能しない場合や、自組織の責任あるアプローチと整合しない影響(インパクト)をもたらす可能性があると判断した場合は、供給者に対して是正処置をとるよう要求することが望まれます。

個人情報(PII)を取り扱う場合の役割分担

AIシステムで処理されるデータに個人識別可能情報(PII)が含まれる場合は、AIシステムのデータ処理活動における役割に基づき、通常は「PII管理者」と「PII処理者」の間で責任を分担することになります。

組織内部での責任の明確化 対外的な関係だけでなく、組織内部においても、AIシステムのライフサイクル全体を通じたアカウンタビリティを確保することが重要です。
そのためには、リスクマネジメント、インパクトアセスメント、セキュリティ、安全性、プライバシー、人間によるオーバーサイト(監視)、供給者との関係などの各領域において、組織のニーズに応じた役割と責任を定義し、適切に割り当てる必要があります。

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早坂 駿汰
早坂 駿汰ISO審査員

日々の審査を通じ、 知識の拡大に奮闘しております。 前職で培った丁寧さを持ち前に、お客様に寄り添う審査員として活動していきたいと思っております。

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