ISMS COLUMNISO規格の知識コラム(ISMS)

ISMS コラム

ISMS

セキュリティ対策評価制度とは?自社の対応を判断できるガイド

2026.07.10
セキュリティ対策評価制度

この記事の3つのポイント

  1. セキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)は、サプライチェーンに関わる各企業に求められるセキュリティ対策の内容と達成状況を★の数で示したもの
  2. 2026年度末から施行される予定で、将来的には中小企業でも取得しておいた方がメリットが多い
  3. ISMSの取得がSCS評価制度取得の土台になる

企業のサイバー攻撃リスクが高まるなか、取引先を含めた「サプライチェーン全体」でのセキュリティ対策が重要視されています。
そこで注目されているのが、2026年度末から施行予定の「セキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」です。

この記事では、本制度の概要から評価の仕組み、取得の必要性、具体的な準備の進め方まで、情シス・総務・DX推進の担当者が押さえるべきポイントを整理します。実務に直結する判断軸として、ぜひご参考ください。

ISO・ISMS取得に関して
お悩みはありませんか?

  • ウチに合った取得方法がわからない
  • なるべく手間をかけたくない
  • コンサルを利用すべきか?
  • 最短スピードで取得したい
  • 効率的に取得・維持していきたい
ISO・ISMS取得に関してお悩みはありませんか?

ISO認証機関ジーサーティに
お任せください!

ISO認証取得をもっと早く、負担ゼロに。

セキュリティ対策評価制度とは?

セキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)は、企業の情報セキュリティ対策レベルを国が一定の基準で評価し、“お墨つき”として可視化する制度です。
近年は取引先や委託先を経由したサイバー攻撃が増えており、サプライチェーン全体での対策強化が求められています。

本制度では、関係企業に必要なセキュリティ対策を体系化し、その達成状況を評価として示します。
大企業と取引がある場合は中小企業も対象となる可能性があり、2026年度末ごろからの施行が予定されています。位置づけとしては、同じ経済産業省が管轄するDX認定制度に近い制度といえます。

★の数(評価レベル)とは?

セキュリティ対策評価制度の評価レベルは、★の数で段階的に示されます。
制度開始時は★3・★4の2段階(★5は今後検討)で、企業は自社の状況に応じて段階的に対策レベルを高めていく仕組みです。
★3は有効期間1年、★4は3年で、更新が必要になります。

大きな違いは、求められる対策の範囲と評価方法で、★4からは評価機関による第三者審査が必要になります。

評価レベルのイメージ

★3:最低限の基礎対策(すべての企業が対象)

  • 一般的なサイバー攻撃への対策
  • 組織的対策+基本的なシステム防御
  • 要求事項:26項目/有効期間1年
  • 自己評価+専門家確認(審査なし)

★4:サプライチェーンを意識した標準対策

  • 供給停止や情報漏えいリスクへの対応
  • ガバナンス/取引先管理/システム防御・検知/インシデント対応まで含む
  • 要求事項43項目/有効期間3年
  • 第三者評価が必須

★5(検討中):高度なセキュリティ対策

  • 未知の攻撃も含む、高度なサイバー攻撃
  • サプライチェーンが目指す指標となる“最終的な到達点”
  • 第三者評価が必須

一般的な中小企業は、まず★3が目安ですが、以下に該当する企業は★4が求められる可能性があります。

  • 重要業務を委託されている
  • 機密情報を扱っている
  • 大企業、重要インフラ関連と取引がある

認定を受ける必要はある?

本制度は義務ではなく任意ですが、サプライチェーンに関わる企業、特に大企業と取引がある場合は取得を前提に考える必要があります。

今後は取引条件や評価基準に影響する可能性もあるため、早めの検討が重要です。その理由を詳しくまとめました。

大企業と取引のある企業は対象になる可能性

経済産業省の公表資料では、「本制度の対象はサプライチェーンを構成する企業等のIT基盤(クラウド環境を含む)」とされ、業種や事業規模を問わず幅広い事業者が該当し得るとされています。

つまり、大企業だけでなく、その取引先や委託先にあたる中小企業も対象に含まれる前提です。
現時点で義務化はされていませんが、大企業と継続的な取引がある企業ほど、今後対応を求められる可能性が高い点を意識しておきましょう。

参考:「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度に関する制度構築方針」(SCS評価制度の構築方針)を公表しました(経済産業省)

事実上のスタンダードになる可能性

現時点では取得は任意ですが、運用次第では“事実上の標準”になる可能性があります。

スタンダードになる可能性の理由

  • 取得した★(評価レベル)は公開される
  • 自社のセキュリティ対策レベルを示す「証明」として活用が可能
  • 取引先の比較・選定基準として参照される可能性がある

その結果として、★取得が企業の“当たり前”になる可能性があります。市場のなかで標準化していく動向に注意が必要です。

将来的に契約条件になる可能性も

経済産業省の「よくある質問」では、独占禁止法や下請法に配慮しつつも、「★取得を契約条件とするかは当事者間で合意されるべき」とされています。
現時点で一律に義務化される可能性は低いものの、段階的に“必要なセキュリティ対策を満たしているか”が取引条件に組み込まれる流れは十分考えられます。

最短では2027年度以降の契約から影響が出る可能性もあるため、事前の準備が求められます。

自社の負担軽減につなげられる可能性も

本制度は「求められる対応」であるだけでなく、自社の業務負担を軽減するメリットも期待できます。
これまで多くの企業では、取引先ごとに異なるセキュリティチェックシートに回答する必要がありましたが、★の取得によって一定のセキュリティ水準を示せるようになります。

これにより、個別の確認対応を簡略化できる可能性があり、その結果、担当部門の工数削減や対応の効率化が期待できます。

GCERTIのISO27001(ISMS)審査は審査がスピーディ・審査料が安い・お客様の負担が少ない

申請方法・認定を受けるまでの流れ

2026年4月時点では、申請方法や認定までの詳細な手続きは公開されていません。今後はIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)から正式に発表される見込みです。基本的な流れとしては、まず自社で必要なセキュリティ体制を整備し、そのうえで評価を受けます。

★3の場合は専門家による確認、★4では評価機関による認証が必要になる想定です。ただし、現時点では具体的な専門家や評価機関の一覧は公表されていないため、今後の情報更新を注視しましょう。

セキュリティ対策評価制度に向けた準備

制度の詳細が未確定でも、準備はすでに始められます。
★3、★4に対応した「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」が公開されており、自社の現状を把握し、段階的に対策を進めることが可能です。

プレス発表「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版を公開

まずは何から着手すべきか、ポイントを整理していきましょう。

いつから準備すべき?

現時点では制度の詳細や申請方法が未確定なため、今すぐ本格的な対応を始める必要はありません。
ただし、一定のタイミングで準備に着手するのが現実的です。

準備を始めるタイミングの例

  • 取引先からセキュリティに関するアンケートやチェックシートの提出を求められたとき
  • 新規取引の開始や大企業との取引拡大を検討しているとき
  • 経済産業省や情報処理推進機構、業界団体などからセキュリティ強化の動きが見られる場合

これらは将来的に制度対応が求められるサインといえるため、事前に制度の理解や自社の現状把握を進めておくと安心です。

必要となる主な準備内容

準備の第一歩は、自社の取引内容や業務特性を踏まえ、どの★レベルを目標にするかを見極めることです。
そのうえで、現状のセキュリティ対策を確認し、「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」と照らし合わせて不足やギャップを把握しましょう。

次に、対応内容を「時間がかかるもの」と「短期間で対応できるもの」に整理し、前者を優先した現実的なスケジュールを立てることが重要です。あわせて、不足している対策を段階的に補っていきます。

なお、現時点では特定のセキュリティ対策製品の導入・購入は必須ではないと名言されています。

中小企業でも対応できるのか

結論から言えば、中小企業でも対応は可能です。制度設計の段階から中小企業を想定した支援策が検討されており、★3、★4取得に向けた「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の実証事業も予定されています。また、ガイドライン自体も中小企業が自力で対策を進められるよう設計されています。

また、取得にコンサルは必須ではありませんが、★3でも「登録専門家」による確認が必要です。この専門家は「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」で、今後は中小企業支援に対応できる人材リストの公開も見込まれています。

ISMSやPマークとの関係

SCS評価制度とISMSは、相互に補完し合う関係と位置付けられており、対策内容の親和性も高いのが特徴です。
そのため、ISMSを取得・運用している企業は、★取得に向けた土台がすでに整っているといえます。

一方、Pマークは自社で扱う個人情報の保護が目的であり、サプライチェーン全体のセキュリティ対策を評価するSCS評価制度とは対象が異なります。
なお、ISMSやPマークを取得していても、それだけで★取得の代用にはならないので注意しましょう。

これからISMSなどを取得しておくべきか

現時点でISMSなどの認証を取得していなくても、新たに取得するメリットは十分にあります。特にISMSはSCS評価制度との親和性が高く、準備の効率化につながります。また、ISMSにより社内意識の向上や対外的な信頼性向上も期待できます。

取得を検討すべきケース

  • 今後、取引先からのセキュリティ要求が増えそう
  • 大企業との取引がある、拡大予定
  • 公共案件への参画を予定している
  • 社員数30人以上で体制整備が必要

無理に取得しなくてもよいケース

  • 小規模で影響範囲が限定的
  • まずは制度対応のみを優先したい
  • コストを極力抑えたい

いずれも自社の状況に応じて判断することがポイントです。

すでにISMSなどを取得している場合の追加対応

ISMSなどをすでに取得している場合でも、そのままSCS評価制度に対応できるとは限らず、追加対応が必要になる可能性があります。

想定される主な追加対応

  • 対象範囲の見直し:ISMSの適用範囲を限定している場合、サプライチェーン全体の業務まで拡張が必要になる可能性
  • サプライチェーン管理の強化:委託先のセキュリティ確認、取引先への要求事項の明確化、全体リスク評価の実施
  • 評価制度への適合:既存の管理資料をSCS評価制度のフォーマットに合わせて再整理
  • レベルに応じた追加対策:特に★4以上では、より高度な対策の上乗せが必要になる可能性も

既存の仕組みを活かしつつ、不足分を補う視点を持つようにしましょう。

まとめ

セキュリティ対策評価制度は、単なる新ルールではなく「取引に直結する評価軸」になっていく可能性があります。ただし、いきなり完璧を目指す必要はありません。まずは自社の現状を把握し、★3レベルから段階的に整えていくことが現実的といえます。

もちろん、すでに取り組んでいる対策も無駄にはなりません。早めに全体像をつかみ、できる対策から着手することが、将来のリスク低減と安定した取引継続につながります。

  • SNSでシェアする

1分でカンタン!
なんでも質問フォーム

株式会社GCERTI-JAPAN
ISO審査機関です。
コラムの内容やISOに関することでお困りの際はお気軽にご相談ください。
ISO審査員がお答えします。

小林 卓慈
小林 卓慈ISO審査員

一審査員として、社会貢献ができるよう努めてまいります。 また、営業面ではお客様にとって、より良い提案ができるよう、お客様とのコミュニケーションを大事にしております。

お問い合わせはこちら
お問い合わせはこちら
お見積もり依頼 お問い合わせ

Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial