ISO14001
COLUMNISO規格の知識コラム(ISO14001)

ISO14001

【ISO14001】環境目標・環境方針とは?

2023.03.24
【ISO14001】環境目標・環境方針とは?

ISO14001取得にあたり、企業は「環境方針」と「環境目標」というものを設定する必要がございます。

環境方針とは
環境目標を定めるための枠組みとなる環境マネジメントシステム全体の方針を指します。

環境目標とは
環境方針によって定められた方向に組織を動かすために必要な定量的な目標を指します。

本記事では、上記で簡単に説明させていただいた環境目標と環境方針についてより詳しくご説明致します。

環境方針とは

トップマネジメントは、組織をまとめ環境マネジメントシステムを導くために環境方針を策定します。
ISO14001の規格では、環境方針の内容に関する要求と、確立された環境方針の伝達に関する要求をしています。

環境方針は「環境マネジメントシステムの方向性を決める根幹となるもの」となっています。
したがって、ただ設定するだけでなくきちんと組織内で理解されている必要があります。

「組織内で理解されている」というのは、環境方針の文言を暗記すればいいということではなく、環境方針に込められたメッセージが正しく理解され、環境方針を達成するために自分が何をするべきかが理解されている状態のことになります。

環境方針の確立について

環境方針は、組織を動かし環境マネジメントシステムを導くものとして環境マネジメントシステムにおいて重要な役割を担っています。

近年、インターネットなどを通じてさまざまな組織の環境方針を参考にすることができますが、環境方針は、第一に組織の目的や状況に適切で、組織の目指す方向と一致したものでなければなりません。

環境方針の策定にあたり、下記5点を満たす必要があります。

  1. 組織の目的、並びに組織の活動、製品及びサービスの性質、規模及び環境影響を含む組織の状況に対して適切である
  2. 環境目標の設定のための枠組みを示す
    (ヒントとなるようなものを与える)
  3. 環境保護に対するコミットメントを含む
    (汚染の予防、持続可能な資源利用、気候変動の緩和・適応、生態系の保護など)
  4. 組織の順守義務を満たす ことへのコミットメントを含む
  5. 環境パフォーマンスを向上させるための環境マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む

環境方針の運用について

環境方針は、環境マネジメントに対するトップマネジメントの想いを組織に伝える大切な手段です。
その伝達のために下記3点を満たさなければなりません。

環境方針の伝達のために満たすべき3つのポイント

  1. 文書化した情報として維持する
    (内容をときどき見直して維持する)
  2. 組織内に伝達する
    (組織の目標策定などの活動に適用するように組織に伝える)
  3. 利害関係者が入手可能である
    (要求されたときなど必要に応じて、利害関係者が入手できるようにしておく)

環境方針は「文書化した情報」として維持することが要求されていますので、何らかの形で文書化する必要があります。

伝達の方法としては、組織内での掲示や朝礼、方針カードなど様々な方法があります。

環境目標とは

環境目標は、現状よりやや高いレベルを目指す改善目標だと改善につながります。
組織の状況に応じて、適宜、適切な改善目標を設定することにより、継続的改善を達成することができます。

環境目標の確立について

環境マネジメントシステムにおける「意図した成果」とは以下の3点です。

  1. 環境パフォーマ ンスの向上
  2. 順守義務を満たす
  3. 環境目標の達成

組織は環境目標を確立するときに、「著しい環境側面」「順守義務」を考慮に入れ、リスク及び機会を考慮しなければなりません。

「考慮に入れる」というのは「考慮する」よりも重い内容であり、考慮に入れた結果に反映されるべきものになっています。

適切な環境目標を掲げる

環境目標は「環境に関する達成すべき成果」であり、積極的な改善目標であったり、消極的な維持目標であったりします。
環境マネジメントシステムを改善していくためには、組織の状況に応じて適切な改善につながる環境目標を立てることが大切です。

規格では「必要な関連する機能」「階層及びプロセスにおいて環境目標を確立すること」を求めています。
例えば組織で必要な「機能 (営業や製造)」「 階層 (部や課)」また、プロセスで適切な環境目標を策定することが、有効な成果を達成できるかどうかのポイントになります。

環境目標は、6.1.2項で定める以下の項目を満たさなければなりません。

———-

a)環境方針と整合 している
b)(実行可能な場合)測定可能である(量で表すことができる)
c)監視する
d)伝達する
e)必要に応じて、更新する

———-

環境目標は「文書化した情報」として維持します。
環境方針と同じく、何らかの形で文書化する必要があります。

また量で表し、監視し、関係者に伝達し、必要 (状況の変化)に応じて更新することが必要です。

まとめ

今回は環境方針と環境目標について説明させていただきました。

環境方針について

  • 環境方針は環境マネジメントシステムを導く重要な役割を担う。
  • 環境方針は文書化した情報として維持し、組織に適切に伝達する。
  • 利害関係者が環境方針を入手できるようにしておく。

環境目標について

  • 著しい環境側面と順守義務を考慮に入れ、リスク及び機会を考慮する。
  • 機能・ 階層・ プロセスで適切な環境目標を立てることが重要。
  • 目標は測定可能なもの(量で表すことができるもの)とする。
  • 監視・ 伝達、必要に応じ更新する。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
少しでも参考にしていただければと思います。

ISO14001に関するよくあるご質問

Q環境マネジメントシステムとは何ですか?

マネジメントシステムの中でも特に環境側面をマネジメントし、順守義務を満たしてリスク及び機会に取り組むために用いられるものです。

QISO14001における環境側面と環境影響の違いは?

「環境側面」とは、環境と相互に作用する又は相互に作用する可能性のある、組織の活動又は製品サービスの要素と規定されています。
組織を取り巻く環境(近隣住民・従業員・消費者・自然環境)などに影響する可能性がある、組織の活動や製品及びサーボスの要素を指します。

「環境影響」とは、有害か有益問わず、全体的に又は部分的に組織の環境側面から生じる、環境に対する変化を指します。

Q環境マネジメントシステムと環境活動の違いは何ですか?

「環境活動」とは、省エネやごみの減量、環境に配慮した(環境への負荷を減らす)活動のことです。

「環境マネジメントシステム」とは、そもそもごみを減らすための仕組みの運用やエネルギーの使用量を減らすためのシステムのことです。

一見同じように見えますが、ISOは結果よりも過程を重視するため、結果が出るまでの前提や過程に重きを置いている点に違いがあります。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

小島 汐央里
小島 汐央里ISO審査員

お客様はもちろん会社にも貢献できるよう精進してまいります。 日々の審査を通じより一層知識を身に着け、お客様に満足いただける審査を行っていきたいと思っております。

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