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ISO9001取得要件に規定される文書管理とは?

2022.05.06
ISO9001取得要件に規定される文書管理とは?

この記事の3つのポイント

  1. 文書管理とは、必要な時・場所で正式な文書を必要な人が間違いなく取り出し、使える状態にすること
  2. 業務上必要のないものを無理に文書化する必要は無い
  3. 適切な文書管理を行う事で業務時間の削減・業務の効率化に繋がる

ISO9001における文書管理とは、文書が「必要な時・場所で正式な文書を必要な人が間違いなく取り出し、使える状態」で適切に管理されていることを指します。

本記事では、ISO9001における文書管理について、要求事項とそれを満たす文書管理を行うためのポイントを解説するとともに、ISO9001に沿った文書管理を行うメリットもご紹介致します。

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ISO9001における文書管理とは?

まず一般的に言われる「文書管理」とは、企業が保有する発注書・契約書・請求書・資料・マニュアル等の社内外で活用される様々な文書に対して適切に管理(整理整頓・活用・保管・廃棄)する業務のことを指します。
対象となる文書の保管形態(紙やデータ等)は問いません。

そしてISO9001では文書管理の役割として、「必要な時・場所で正式な文書を必要な人が間違いなく取り出し、使える状態にすること」を求めています。

この役割を果たす文書管理のために、ISO9001では次項で紹介する要求事項を提示しています。

ISO9001の文書管理に関する要求事項

ISO9001要求事項 7.5 文書化した情報

7.5.3 – 1
品質マネジメントシステム及びこの規格で要求されている文書化した情報は、次の事項を確実にするために、管理しなければならない。
a) 文書化した情報が、必要なときに、必要なところで、入手可能かつ利用に適した状態である。
b) 文書化した情報が十分に保護されている(例えば、機密性の喪失、不適切な使用及び完全性の喪失からの保護)。

7.5.3 – 2
文書化した情報の管理に当たって、組織は、該当する場合には、必ず、次の行動に取り組まなければならない。
a) 配付、アクセス、検索及び利用
b) 読みやすさが保たれることを含む、保管及び保存
c) 変更の管理(例えば、版の管理)
d) 保持及び廃棄

品質マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書化した情報は、必要に応じて識別し、管理しなければならない。 適合の証拠として保持する文書化した情報は、意図しない改変から保護しなければならない。

注記 アクセスとは、文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定、又は文書化した情報の閲覧及び変更の許可及び権限に関する決定を意味し得る。

引用元:​​JIS Q 9001:2015 品質マネジメントシステム 要求事項

要するに何を求められているのか?

  • 必要な時・場所で必要な文書をすぐ入手できること
  • 文書が常に利用しやすい(読みやすい)状態を保つこと
  • アクセスしやすい方法で文書を保管すること
  • 文書変更の際は変更履歴を残し、変更前の状態に戻せるように管理すること
  • 文書化した情報を十分に保護すること

といった管理状態を求められています

2015年の規格改訂で文書管理がより重視されるように

昨今のIT技術の発展・企業における業務のシステム化を考慮し、ISO9001でも2015年の規格改訂の際に電子文書データの取り扱いに関する項目が追加されました。

具体的には、電子文書データの管理について以下のことを求められています。

  • データを適切に保護し、外部からのサイバー攻撃による情報漏えいや改ざん、消失を防ぐ
  • データへのアクセス権の適切な管理
  • データを保存したメディアの適切な管理
  • データををバックアップすること

このようなISO9001の要求事項を満たすためにはどのように文書管理を行えば良いのでしょうか?
次項で見ていきましょう。

ISO9001要求事項を満たす文書管理2つのポイント

ポイントは
①必要な文書を分類、作成方法を決める
文書管理規程を定めて遵守する
の2つです。

それぞれ詳しく解説致します。

ポイント① 必要な文書を分類、作成方法を決める

業種や業務内容、企業規模によって必要な文書は異なります。
そのためISO9001では文書の分類やその作成方法についての定めはなく、企業が自ら自主的に決める必要があります。

見方を変えると、業務上必要のないものを無理に文書化する必要は無いということです。
自社の業務フローに沿って文書化して管理すべきものだけを「必要な文書」として定めることで、実務に即したISO9001運用を実現しましょう。

文書の作成方法については、文書の識別方法や文書の形式等の項目が必要となります。

ポイント② 文書管理規程を定めて遵守する

文書管理規程とは、適切な文書管理を行うために自社で定めるルールブックのことです。

自社が保有する発注書・契約書・請求書・資料・マニュアル等の社内外で活用される様々な文書の取り扱いについて定め、これを社内で周知・遵守することが適切な文書管理に繋がります。

この文書管理規程をISO9001が求める

  • 必要な時・場所で必要な文書をすぐ入手できること
  • 文書が常に利用しやすい(読みやすい)状態を保つこと
  • アクセスしやすい方法で文書を保管すること
  • 文書変更の際は変更履歴を残し、変更前の状態に戻せるように管理すること
  • 文書化した情報を十分に保護すること

に則って定めましょう。

ISO9001に沿った文書管理を行うメリット

ISO9001の要求事項を満たす文書管理を行うことは面倒に思われるかもしれませんが、それに見合ったメリットもあります。

ISO9001に沿った文書管理を行うメリット

メリット① リスクマネジメント

文書が適切に管理されていない状態は情報漏洩や紛失等の重大なリスクに繋がります。
また、実際にそのような事態が発生してしまうと対外的な信用を失ってしまうことになります。

適切な文書管理はこのようなリスクを回避することに繋がります。

メリット② 業務の効率化

業務をスムーズに行う上で、必要な文書を取り出すための時間はできる限り短くしたいものです。

書類が無造作に山積みされ、散らかったデスクを想像してみてください。
捨てるべき書類や今は必要のない書類に埋もれてしまって、今すぐに確認しなければならない書類を見つけるまでに大幅に時間をとられてしまうのは大変なストレスですし、時間の無駄ですよね。

適切な文書管理は上記のような状態を企業規模で防ぎ、業務時間の削減・業務の効率化に繋がります。

メリット③ 常にお客様からの信頼を得られる

業務フローやノウハウを文書化して管理しておくことで、従業員の入れ替わりがあった際にもきちんと引き継ぎや教育が行われ、常に業務の質を保ち続けることができます。

こうして常に一定以上の品質の商品やサービスをお客様に提供することでお客様からの信頼を得続けることができます。

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まとめ

いかがでしたか?
ISO9001の要求事項に沿った適切な文書管理はその手間以上に大きなメリットが得られる大変重要な業務です。
本記事が皆様のISO9001における文書管理への理解・意識向上のきっかけとなりましたら幸いです。

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小林 卓慈
小林 卓慈ISO審査員

一審査員として、社会貢献ができるよう努めてまいります。 また、営業面ではお客様にとって、より良い提案ができるよう、お客様とのコミュニケーションを大事にしております。

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