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IATF16949とは?ISO9001との違い

2022.04.15
IATF16949とは?ISO9001との違い

この記事の3つのポイント

  1. ISOとIATFではゴールとするポイントが異なる
  2. IATFを要求されるのは自動車業界(サプライチェーンを含む)
  3. IATFの要求事項の順守は核となる6つのコアツールにて運用

IATF16949とは、自動車産業の国際的な品質マネジメントシステムの要求事項を規定したものです。

本コラムではIATF16949について詳しく解説するとともに、ISO9001(品質マネジメントシステム)との違いについてもご紹介致します。

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IATFとは

IATFとはInternational Automotive Task Forceの略で日本語では「国際自動車産業特別委員会」と言います。

委員会は自動車メーカー9社(GM、クライスラー、ダイムラー、BMW、フォルクスワーゲン、フィアット、ルノー、フォード、プジョーシトロエン)と自動車産業団体5社(アメリカ、ドイツ、イギリス、イタリア、フランス)で構成されています。
※日本国内のメーカーは参入していません

IATF16949とは

IATF16949とは、先述の通り自動車産業の国際的な品質マネジメントシステムの要求事項を規定したものです。

ISOにも品質マネジメントシステム(ISO9001)がございますが、IATF16949はISO9001をベースに自動車産業に特化した要求事項を加えた国際認証規格です。

ISO9001の要求事項に加えIATF16949の要求事項も加わり計400近い要求があります。
そのためはじめからIATF16949を取得するのではなく、ISO9001を取得してからIATF16949の取得に向け行動するケースが大多数を占めています。

IATF16949の歴史

発端は1994年にさかのぼり、自動車メーカー統一の製品企画を設けることを目的に米国ビッグ3と言われるフォード・モーター、ゼネラルモーターズ、ダイムラークライスラー(現・クライスラー)によってISO9001をベースにしたQS-9000が作成されたのが始まりです。

その後「ISO/TS16949:1999(TS-1)」ISO/TS16949:2002(TS-2)」など様々な改訂が加わり現在は「ISO/TS 16949:2016」として運用されています。

ISO9001をベースに作られている認証規格ですので、歴史としてはまだ30年も満たしていませんが、世界中で約40000件もの企業が取得している規格になります。

IATF16949の歴史

IATF16949の取得メリット

IATF16949を取得すると、外部的なメリットと内部的なメリットを得られます。

外部的なメリット

外部的なメリットとしては、自動車産業の業界内における信頼性・信用が高まることにあります。

取得をしている事で、一定レベルの品質管理がされている・高い品質を維持しようという姿勢が強い組織であると認識できるからです。
(要求事項が非常に細かい為、通常のISOマネジメントシステムと比較しても非常に難易度も高いです)

その信頼を得る事で、様々なグローバルな受注・取引が見込めると考えられます。

内部的なメリット

内部的なメリットとしては、このシステムが効果的に運用・機能することによって、組織の提供する製品の品質維持向上に繋がります。

そして、無理や無駄を極力なくす事で業務効率の改善も見込まれます。
その取り組みを通して、従業員の意識向上やスキルアップに繋がる期待もあります。

IATF16949とISO9001との違い

ISO9001は「品質」のマネジメントシステムの要求事項であり、特定の分野にフォーカスした認証規格ではなく、建設業や製造業や販売業など様々な分野で認証が行われています。

一方、IATF16949は品質の中でも自動車に関連する部品を製造している事業に適用され、その他の分野では取り扱われていません。

ISO9001では少し曖昧な要求を求めている部分がありますが、IATF16949では実施内容をより明確にした要求事項が含まれています。
一般的な品質とは違い、自動車部品等はより高度な品質や精度が要求されます。

また、ISO9001では発生した不良に対する改善活動を重要視していますが、IATF16949では不良を発生させないこと、つまり不良の発生を予防することを重要視しています。

ISO9001についてはこちらの記事でさらに詳しく解説していますので、合わせてご参照ください。
ISO9001(品質マネジメントシステム)とは?要求事項や認証取得のメリットについて基本から解説します!

IATF16949の認証について

冒頭でも申し上げましたが、IATF16949は自動車部品に対する認証です。
自動車業界サプライチェーンの組織なら、IATF16949の認証審査を受けることが可能です。

IATF16949の認証手法としてはISOと同じく第3社機関による認証が行われており、日本国内にも様々な認証機関があって特色も様々です。
※弊社(GCERTI-JAPAN)ではIATF16949の認証を行っておりません。

審査を受審する側の条件としては

  • ISO9001における要求事項
  • IATF16949における要求事項
  • 顧客固有の要求事項

の3つの要求事項を網羅し、対応している運用体制が必要になります。

次項でIATF16949の要求事項を詳しく見ていきましょう。

GCERTIのISO9001審査は審査がスピーディ・審査料が安い・お客様の負担が少ない

IATF16949の要求事項

IATF16949の要求事項は大きく分類して

  • 不適合(不良)の予防
  • サプライチェーンにおけるバラつきや無駄の低減
  • 継続的な改善

の3つを要求しています。

サプライチェーンにおけるバラつきとは、同様の製品を作成する会社でも生産工程に置ける監視方法は各企業で様々違います。
品質管理においては生産工程は同じでも管理方法が違うと成果物の品質は大きく変わってくるため、そういったバラつきを無くすためにIATF16949の要求事項にサプライチェーンの管理が含まれています。

継続的な改善に関しては、ISO9001でも要求事項として存在していますが、PDCAサイクルを回すことにより、より良いシステム・体制づくりを求めています。

上記の要求事項を満たし構築・運用していくためには6つのコアツールを導入し運用していくことが重要になります。
6つのコアツールについては下記をご参照ください。

  1. APQP(先行製品品質計画)
    プロジェクトチームの作成。部品に関連する各部署から人員を募る
  2. PPAP(生産部品承認プロセス)
    顧客に納品する製品に対して承認をもらい製造していく
  3. CP(コントロールプラン)
    部品の作り方(設計図)を明確にし、それに基づき製造する
  4. FMEA(故障モード影響解析)
    故障リスクを予測し対策するし、リスクを減らすことで結果損失も減る
  5. SPC(統計的工程管理)
    不安定な状態を防ぎ、安定した状態を維持する
  6. MSA(測定システム解析)
    測定器・測定者が正しく測定できている事を誤差の大小にて証明

6つのコアツールはそれぞれが密接に関係しており、また規格の要求事項に密接に関係しています。

IATF16949を構築運用していくうえで、それぞれのコアツールの関係性や仕様についての理解を深めることは必要不可欠になります。
※APQPとCPを一つととらえ5つのコアツールと呼ばれることもあります。

審査サイクルはISOと同じく1年ごとの認証維持審査と3年に一度の再認証審査にて登録の維持を行います。

いかがでしたか?

今回はIATF16949について詳しく解説するとともに、ISO9001(品質マネジメントシステム)との違いについてもご紹介してまいりました。
本コラムがIATF16949を理解するための一助となれば幸いです。

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辻野 久興
辻野 久興ISO審査員

主に品質マネジメントシステム/環境マネジメントシステムの審査員として活動しています。 審査では、お客様の緊張をほぐし、良い雰囲気作りを心がけています。 規格について分からないことがあればいつでも相談してください。

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