ISO9001 COLUMNISO規格の知識コラム(ISO9001)

ISO9001 コラム

ISO9001

JISQ9001とISO9001の違いとは?

2021.12.24

この記事の3つのポイント

  1. 9001の後ろについているJISとISOによって別々に意味があり、違いがある
  2. JIS規格では区分によるそれぞれ固有の規格番号と19分類されたアルファベット表記で識別が出来るようになっている
  3. JIS・ISOの理解が増すことでより深く規格を理解することが出来る

JISQ9001は国内規格であり、日本産業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)が決めた規格で、ISO9001は国際規格であり、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)が決めた規格です。

本記事ではどのような違いがあるのか、またその関係性について詳しく解説致します。

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ISO規格とJISの違いは?

そもそも9001(品質マネジメントシステム)に関して規格が2つあるの?内容も違うのかと思われる方もいるのではないでしょうか。
どういった違いがあるのかについて下表を踏まえ説明致します。

ISO:国際規格であり、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)が決めた規格です。国際標準化機構は、電気分野を除く工業分野の国際的な標準である国際規格を策定する為の民間の非政府組織です。/JIS:国内規格であり、日本産業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)が決めた規格です。産業標準化法に基づき制定され、日本工業標準調査会の答申を受けて、主務大臣が制定する工業標準で、日本の国内標準の1つです。

その他概要以外にどういった違いがあるのか記載していきます。

  • ISOは、民間主導による活動ですが、JISは産業標準化法により制定されている。
    産業標準化法:我が国の適正かつ合理的な産業標準の制定と普及を目的として1949年6月1日に制定され施行されました。
    制定当時は工業標準化法でしたが、2019年7月1日に法改正され現在の名称となった。
  • ISOには、仕事の仕組みに関する規格がありますが、JISにはなく、製品のみとなっている。
  • 製品に認証マークが付けられるのはJISだけとなっている。
  • JIS規格をISO規格に合わせて国際化していこうという流れですが、一部の規格は未だに多少の違いがあるものも存在します。

違いがあるものを1点取り上げて説明していきます。

★ねじ
ネジはもともとJISとISOが別々に規格をたてていました。しかし、全体の寸法をはじめ、ピッチや外径が変わるだけでも使うことができないので、統一させようとしてきました。
その結果、JISのISOの規格は非常に近づいてきてはいますがそれでもISOに存在せずJISだけで規定されているものはそのまま残している場合があり、各規格にも差が残ったままになっている。

ISO規格とJISの関係性はどのようなものか

ここまで読んで、ISOとJISという2つの規格があると、どちらを守るべきかわからないという疑問を持った方もいるかもしれません。
続いてはISO規格とJISの関係性についてお話します。

ISO規格とは、ISO(International Organization for Standardization: 国際標準化機構)によって作成される規格であり、JISは、Japanese Industrial Standards の略で、『日本産業規格』といいます。
産業標準化法に基づき制定される、先ほどの違いでもお話がありました日本の国家規格のことです。

JISは多数の部門に分類されており、土木及び建築、一般機械、電気・電子、管理システムなどそれぞれ分野に応じてアルファベットと数字が付与されています。

ISOの原文は英語、フランス語などで作成されますが、日本国内での使用を円滑にするために、技術的内容及び規格票の様式を変更することなく日本語に翻訳され、JISとして発行されています。
なお、この日本語への翻訳作業を実施するのは日本産業標準調査会(JISC)です。
翻訳されたJISは、原語で作成されたISOと同じ内容であると認められており、国際整合化が図られています。

結論として基本的にJISは国際規格であるISO規格を元にして、翻訳して作られているものであり、そのため、JIS規格を守っていれば、ISO規格にも適合するようになっているのです。

国際取引や製品をそのまま輸出するケースも増えてきており、規格に整合性がないと使いにくいもの。
そのため、国際規格とずれのある部分は整合化できるように、ISOの規格改定に合わせてJISの修正もすすめられています。

JISの分類区分について

ISO規格とJIS規格の関係性の際に出てきましたJISの分類についてお話します。

JIS規格では区分によるそれぞれ固有の規格番号と19分類されたアルファベットが与えられます。
番号は、部門を表すアルファベット1文字、数字4~5桁の組み合わせで表示されます。
例)JIS Q 9001

また部門のアルファベットはどのように区分されているのか下表に記載します。

アルファベット区分詳細
A土木及び建設一般・構造/試験・検査・測量/設計・計画/設備・建具/材料・部品/施工/施工機械器具
B一般機械機械基本/機械部品類/FA共通/工具・ジグ類/工作用機械/光学機械・精密機械
C電子機器及び電子機械測定・試験用機器用具/材料/電線・ケーブル・電路用品/電気機械器具/通信機器・電子機器・部品/電球・照明器具・配線器具・電池/家電製品
D自動車試験・検査方法/共通部品/エンジン/シャシ・車体/電気装置・計器/建設車両・産業車両/修理・調整・試験・検査器具/自転車
E鉄道線路一般/電車線路/信号・保安機器/鉄道車両一般/動力車/客貨車/綱索鉄道・索道
F船舶船体/機関/電気機器/航海用機器・計器/機関用諸計測器
G鉄鋼分析/原材料/鋼材/鋳鉄・銑鉄
H非鉄金属分析方法/原材料/伸銅品/その他伸展材/鋳物/機能性材料/加工方法・器具
K化学化学分析・環境分析/工業薬品/石油・コークス・タール製品/脂肪酸・油脂製品・バイオ/染料原料・中間物・染料・火薬/顔料・塗料/ゴム/皮革/プラスチック/写真材料・薬品・測定方法/試薬
L繊維試験・検査/糸/織物/繊維製品/繊維加工機器
M鉱山採鉱/選鉱・選炭/運搬/保安/鉱産物
Pパルプ及び紙パルプ/紙/紙工品/試験・測定
Q管理システム標準物質/管理システム等
R窯業陶磁器/耐火物・断熱材/ガラス・ガラス繊維/ほうろう/セメント/研磨材・特殊窯業製品/炭素製品/窯業用特殊機器
S日用品家具・室内装飾品/ガス石油燃焼機器・食卓用品・台所用品/身の回り品/はきもの/文房具・事務用品/運動用具/娯楽用品・音楽用品
T医療安全用具医療用電気機器類/一般医療機器/歯科機器・歯科材料/医療用設備・機器/労働安全/福祉関連機器/衛生用品
W航空専用材料/標準部品/機体/エンジン/計器/電気装備/地上設備
X情報処理プログラム言語/図形・文書処理・文書交換/OSI・LAN・データ通信/出力機器・記録媒体
Zその他物流機器/包装材料・容器・包装方法/共通的試験方法/溶接/放射線/マイクログラフィックス/基本/環境・資源循環/工場管理・品質管理

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総まとめ

今回はJISQ9001ISO9001違いとはについてお話させていただきました。

JISQ9001とは、日本産業標準調査会(JISC)がISO9001を翻訳した日本産業規格であり、ISO9001は基本的に世界中で利用されてるものです。
ISO9001規格は英文によって策定されていますが、それを日本国内で円滑に利用する目的でJIS規格として翻訳し、発行されています。
このためISO9001JISQ9001は同一のものとして扱われ、JISQ9001の要求事項を満たすことでISO9001の認証を取得することが可能になるということです。

またISOとJISはともに標準化をすすめるための規格ですが、ただし、世界標準か日本独自の基準かという違いがあります。
両者は整合化されてきて一部まだ違いが残っている場合があるため注意が必要です。
また、仕組みに関する規格を設けているのはISOだけというところも異なります。

ぜひこの機会に、JISQ9001ISO9001違いとそれぞれの規格に関する理解を深めて頂き、貴社で取り扱う製品・サービスに関係するISO規格、JIS規格をそれぞれ調べてみてください。

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小林 卓慈
小林 卓慈ISO審査員

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