ISO9001 COLUMNISO規格の知識コラム(ISO9001)
ISO9001 コラム
ISOには定期的な規格改訂があり、その度に組織としてのマネジメントシステムを見直し、ISOを組織の活動の一環として上手く取り入れている企業もあります。
ですがその反面、ISO規格で構築したマネジメントシステムと、組織における活動の実態が整合しておらず、ISOの活動の為に余分な工数がかかってしまい、業務負担になっている企業が増えてきていることも事実です。
その結果、ISO認証維持することが困難と考え、返上することを検討している企業も多数あります。
当コラムでは、ISO認証を維持し続けることのメリットとデメリットに関してご説明いたします。
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ISOを認証取得し、上手くISOの取組みと日常業務を組み合わせて運用できている企業も存在しておりますが、ISO認証取得するために通常業務を一変させてしまったり、ISO活動と通常業務が完全に分離してしまい、これまで以上に工数が上がってしまったりとISO活動を取り入れることにより問題が発生しているケースもあります。
ISOの運用が、通常業務と分離してしまっている企業では、認証維持の為の審査費用や、業務の工数アップ等が社内の悪循環と捉えてしまい、メリットが少ないと感じ認証の返上することが多いです。
中には返上したいけれども、顧客との取引条件内にISO認証が入っている場合があり、簡単に返上することができないといったケースもあります。
そのような状況下であっても、認証の返上する最も大きな理由としては、取引先でISO認証取得を条件にしない企業が増えてきていることにあります。
特に日本の大手企業では、独自の品質・環境のシステムが運用されており、ISOを取り入れることなく、十分に継続的改善をすることが可能であり、利益を生む体制が整備されています。
そこで、大手企業と取引するに当たっては、ISO基準よりも大手企業の基準で体制を整えることが重要視されてきているため、ISOは不要と考え返上に踏み切る企業が増えてきています。
しかし、これまで認証取得していたものを返上することにより問題は発生しないのでしょうか?
次は、ISO認証返上したことによるメリットとデメリットについてお答えしていきます。
ISOを返上するメリットとしては、まず審査費用が削減できることにあります。
ISO認証を維持していくためには、1年ごとに審査を受ける必要があります。
企業の規模により審査費用は変動し、さらに審査機関によっても費用は変わっていきます。
その為、認証維持し続けていくということは、決して安価ではない審査費用を毎年経費として支払っていく必要があるということになります。
さらに、審査の日程も調整しなければいけない為、1日で終了する審査もあれば、数日間に渡り実施しなければいけない審査もあります。これも企業規模に応じて変動します。
その他にも、ISOを運用する上で必ず内部監査を実施しなければなりません。
審査の際に内部監査における実施状況や実績に関しての報告が必要なので、内部監査実施の確認が取れなければ認証維持することができません。
内部監査することで、さらに時間をかける必要性が生じますので、内部監査による工数削減も可能になります。
ISO認証返上するメリットとしては、審査費用カットでき、年間経費に余裕ができるということに加えて、審査や審査前準備の工数を削減することができるので、通常業務に時間を割くことができるようになります。
上記では、ISO認証返上によるメリットを述べてきましたが、必ずデメリットも存在します。
先で述べたように、日本国内の大手企業ではISO認証取得を取引条件にしていないところも増えてきておりますが、海外企業の方では、ほとんどがISO認証取得を条件に取引しております。
その為、海外ビジネスを展開したいと考えている企業は、ISO認証を返上した場合、海外企業からの取引の視野に入らなくなってしまう可能性があります。
日本でもISO認証取得を必須としていない企業は一部であり、今後も取得していることを取引条件としていることも多々あります。
もし認証を返上してしまったとして、再度、取得しようとする場合には、またISO規格に沿った運用方法を検討しなければなりませんし、新規認証審査は認証維持の審査よりも費用と工数が上がってしまう恐れがあります。
他にもISO規格に沿ったマネジメントシステム構築のおかげで、適切な運用がされていたところに異常が生じ、不具合発生時の対応や、必要な記録類の保管等ができなくなり、通常業務にも様々な問題が発生してしまう可能性もあります。
ここまでISO認証取得を返上する企業が増えている理由と、返上した際のメリットとデメリットについてご説明してきました。
ISO認証を返上し再び認証を取得しようとすると、新たに新規取得として審査を受ける必要があり、審査対応者やコスト面でも負担が増えて”デメリット”が発生することから返上前に本当に要らないのかしっかり社内で検討することをおすすめいたします。
ISO認証維持しているが上手くマネジメントシステムが活用されていない、又は工数が多くて手間ばかりかかるとお考えの方に関しましては、ISOマネジメントシステムを効果的な維持のサポートができるコンサルタント会社も存在しておりますので、そのような外部機関に任せてみることも一つの案として挙げられます。
企業における現状の課題と、ISO認証維持していることのメリットを今一度振り返ってみることで、今後もISOの必要性を再認識していただけると思いますので、前向きにISOの取組みをされることを推奨いたします。
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