ISO14001
COLUMNISO規格の知識コラム(ISO14001)
JISQ:14001:2015の規格書を読んでみたことはありますか?
日本語として読めるけど、どういう意味だろう?、どう解釈したらいいんだ?と思うような単語が沢山ありますよね。
今回はISO14001の中でもメインとなる6項「計画」の6.1.2「環境側面」について解説していきたいと思います。
一度でも「環境側面って何?」と思ったことがある方、これを読むと少しはモヤモヤが解決するかもしれません。
JISQ 14001:2015の3 用語及び定義 を確認してみましょう。
環境側面(environmental aspect)
環境(3.2.1)と相互に作用する、または相互に作用する可能性のある、組織(3.1.4)の活動又は製品又はサービスの要素。(引用:JISQ 14001:2015)
この文章だけでISO14001における環境側面の意味を100%理解できる方は少ないと思いますが、何となく、ぼんやり分かる気がしなくてもないですよね。
余談ですが、規格書上で分からないと思った用語は、3 用語及び定義をぜひご参照ください。
それではISO14001規格書本文に戻ります。
ISO14001規格の要求事項で環境側面及び環境影響を決めなければならないと書かれています。
ではISO14001で言われる環境側面とは何でしょうか?
ここでは、『組織が活動するのなかで、環境に影響がありそうな要素』と解釈します。
また、環境影響とは『環境側面から生じる、環境に対する変化』です。
そのため環境側面を洗い出したら、環境影響もおのずと特定されます。
また環境側面は
を考慮し、必要であれば環境側面の追加、修正を行うことも忘れないで下さい。
特に、ここでしっかり環境側面を特定をしていれば、異常時や災害時の効果的な予防・緩和措置や対応手順を考える際により非常に役に立ちます。
環境側面を特定するには、組織の活動、製品およびサービスが環境にどのように影響するかを調査する必要があります。
例えば、大気への排出、水と土地への放出、原材料、廃棄物、天然資源の使用、生物への影響などが考慮されることがよくあります。
付属書A6.1.2 環境側面にも以下の通り記載があります。
環境側面を決定するとき、組織は、次の事項を考慮することができる。
a)大気の排出
b)水への排出
c)土地への排出
d)原材料及び天然資源の使用
e)エネルギーの使用
f)排出エネルギー[例えば、熱、放射、振動(騒音)、光]
g)廃棄物及び/又は副産物の発生
h)空間の使用
さらにISO14001規格では、”ライフサイクルの視点を考慮し”て環境側面を決めるように言われていますので、組織の中枢となる活動や製品だけではなく、受注~出荷までのプロセスまたは請負業者やサプライヤーの活動なども当てはまります。
また多くの人は環境側面についてネガティブな面に焦点を当てていますが、ネガティブなもの・ポジティブなもの両方が含まれます。
例えば、”リサイクル活動”や”環境配慮型商品の購入”など環境に有益な効果がありそうなものを環境側面に含めても構いません。
つまり組織は、ネガティブとポジティブの両方のすべての側面を特定することが重要です。
それでは簡単ですが環境側面・環境影響の一例をお見せします。
活動・サービス | 機械加工 |
---|---|
環境側面 | 【インプット】油の使用 【アウトプット】廃油(ネガティブ) |
環境影響 | 水質汚染 |
活動・サービス | オフィス |
---|---|
環境側面 | 【インプット】古紙 【アウトプット】紙のリサイクル(ポジティブ) |
環境影響 | 資源の有効利用 |
活動・サービス | 輸送業務 |
---|---|
環境側面 | 【インプット】ガソリン 【アウトプット】排気ガス(ネガティブ) |
環境影響 | 大気汚染、地球温暖化 |
これらの特定した環境側面、環境影響は文書化した情報を維持しなければなりません。
多くの組織は、表にして一覧化にしています。
さらに、ISO14001では①著しい環境側面と②著しい環境側面に用いた基準も文書化の要求があります。
著しい環境側面とは、洗い出した環境側面の中で『特に重大な影響を与える環境側面』のことです。
ISO14001ではすべての環境側面を管理する必要はありません。
独自の基準を用いて、組織が決定した著しい環境側面に対して対処することがとても重要になります。
そうすることで、事業活動による環境への影響を軽減し、従業員と地域社会の両方の健康と安全を向上させることができます。
著しい環境側面を決定するためには様々な方法があります。基準は組織によって異なります。
例えば組織の規模、利害関係者からの要望、環境に害を及ぼす可能性などを考慮し、基準を確立すればいいと思います。
いかがでしたか?
環境側面を特定する目的は、組織の活動が環境にどのように影響するか、そしてマイナスの影響を減らし、プラスの影響を増やすためにどのように取り組むかを評価するための構造を組織に提供することだと思います。
ISO14001をうまく運用するためには、環境側面を正しく特定することが一番重要かもしれません。
マネジメントシステムの中でも特に環境側面をマネジメントし、順守義務を満たしてリスク及び機会に取り組むために用いられるものです。
「環境活動」とは、省エネやごみの減量、環境に配慮した(環境への負荷を減らす)活動のことです。
「環境マネジメントシステム」とは、そもそもごみを減らすための仕組みの運用やエネルギーの使用量を減らすためのシステムのことです。
一見同じように見えますが、ISOは結果よりも過程を重視するため、結果が出るまでの前提や過程に重きを置いている点に違いがあります。
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