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ISO9001(品質マネジメントシステム):2015年度改正版への移行マニュアル

2022.11.10
ISO9001(品質マネジメントシステム):2015年度改正版への移行マニュアル

この記事の3つのポイント

  1. 規格書は2015年版と2008年版とで対応関係がある
  2. 2015年版には明確な部署要求がない
  3. 2015年版は顧客重視の体制づくりが目的

ISO9001:2008からISO9001:2015への改正のおける変更ポイントは、「組織ごとに運用している文書が規格に当てはまれば良いといった認識になった」点です。

当コラムではこの変更ポイントについて詳しく解説しつつ、2015年版への移行のやり方についてご説明してまいります。
ISO9001:2015年版への移行マニュアルとして、ぜひご活用くださいませ。

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規格書内容の変化について

規格書は2015年版と2008年版とで対応関係があるように作成されています。
その上で、追加されたもの・廃止されたものがあります。

順番に見ていきましょう。

追加された項番

下記一覧はISO全体としての共通化を考慮して追加された項番です。
要点と共に記載していきます。

  • 4.1 組織及びその状況の理解

組織の目的及び戦略的な方向性とISO9001に関連する社内の内部・外部の課題の明確化

  • 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解

ISO9001に密接に関連する利害関係者はだれか、そしてその利害関係者の要求事項の明確化

  • 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定

4.1と4.2と製品及びサービスを考慮した適用範囲の決定

  • 6.1 リスク及び機会への取組み

4.1と4.2の要求事項を考慮に入れて、関連するリスク及び機会を決定

さらに下の項目はISO9001品質マネジメントシステム)において重要性があることを考慮した箇条になります。

  • 6.3 変更の計画

ISO9001の変更が必要になった場合には計画通りに実施する

  • 7.1.2 人々

ISO9001の効果的な実施の為、その運用・管理に必要な人々を明確にし維持する

  • 7.1.6 組織の知識

ISO9001のプロセスの運用に必要な知識と製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識を明確化にする

  • 8.5.5 引渡し後の活動

製品及びサービスの引渡し後の対応についての決定する

  • 8.5.6 変更の管理

製品及びサービス提供に関する変更した場合、要求事項の適合し続けているのかを管理する

廃止された要求事項

上記とは反対に、2015年版に廃止された箇条があります。

廃止された理由は、2008年版までは画一的な要求事項が多く、2015年版ではできる限りそのような要求事項を減らし、ISO9001の構築・運用・文書化は、それぞれの組織の実態に基づいた方法で行うべきであるという考え方になりました。

下記は2015年版では廃止された要求事項です。

  • 1.2 適用

要求事項の除外に関する規定を廃止

  • 4.2.2 品質マニュアル

品質マニュアルの作成を必須にすることを廃止

  • 5.5.2 管理責任者

管理責任者の任命必須を廃止

  • 8.5.3 予防処置

2015年版において6.1項に予防処置の内容が含まれているので廃止

————————————————

要求事項自体の変化以外にも、明確な文書化要求が減りました。
簡単に言うと組織ごとに運用している文書が規格に当てはまれば良いといった認識に変わったということになります。

上記で示した項番の他にも、変更された点はいくつかあり「実証すべき」、「決定する」、「考慮する」などの文言が追加されています。

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ISO9001:2015で重要視されていること

ISO9001:2008では、製品又はサービスにおける品質保証に対して重要視していました。

ISO9001:2015では、トップマネジメントや顧客とのコミュニケーションをとることに対して責任をもつ人の参加が必要となるため、ISO9001:2008のような品質保証重視の体制づくりではなく、企業が本来行うべき顧客重視の中心にした体制を築くことが必要とされています。

ISO9001:2008とISO9001:2015で重要視されていることの違い

ISO9001:2015のために実行するべきこと

ここからは各項番ごとに、変更していく要点について説明していきます。

4 組織の状況

ISO9001:2008の「1.2 適用」「4.1 一般要求事項」「4.2.2 品質マニュアル」の内容が当てはまります。

4項では特に変更する箇所はありません。
ですが、ISO9001:2015からは適用除外とする項番が7項だけでなく、全項番で適用除外することが可能となっていますので、組織の実態に合わせて適用するか否かを検討する必要があります。

5 リーダーシップ

ISO9001:2008の「5.1 経営者のコミットメント」「5.2 顧客重視」「5.3 品質方針」「5.5.1 責任及び権限」「5.5.2 管理責任者」の内容が当てはまります。

5項では管理責任者を立てることは必須ではなくなりました。
しかしトップマネジメントに代わってマネジメントシステムの運用する責任者の任命はしなければなりませんので、引き続き管理責任者を設置されている会社が多く見られます。

6 計画

ISO9001:2008の「8.5.3 予防処置」「5.4.1 品質目標」「5.4.2 品質マネジメントシステムの計画」の内容が当てはまります。

6項ではISO9001:2008にはなかった「6.1 リスク及び機会への取組み」という新たな要求事項があります。
これは会社におけるあらゆる事態を想定したリスク及び機会を決定し、それに対してどのような取り組みで対応するか検討する内容となっています。

ISO9001:2008から移行する際にやるべきことは、現状実施していることの中で何がリスク及び機会に対しての取組みか把握しておけば特段実施すべきことはありません。

7 支援

ISO9001:2008の「6.1 資源の提供」「6.3 インフラストラクチャー」「6.4 作業環境」「7.6 監視機器及び測定機器の管理」「6.2.2 力量、教育・訓練及び認識」「5.5.3 内部コミュニケーション」「4.2 文書化に関する要求事項」「4.2.3 文書管理」「4.2.4 記録の管理」の内容が当てはまります。

7項でも記載方法が変わっただけで大きく実施すべきことが変わったわけではありません。
新たに追加された「7.1.6 組織の知識」は、ISO9001:2008の「6.2 人的資源」の中で行っていた業務上必要な知識の管理が明確にされた内容となります。

「7.4 コミュニケーション」ではISO9001:2008の「5.5.3 内部コミュニケーション」に外部とのコミュニケーションしている内容を追記するだけで対応することができます。

8 運用

ISO9001:2008の「7.1 製品実現の計画」「7.2 顧客関連のプロセス」「7.3 設計開発」「7.4 購買」「7.5 製造及びサービス提供」「8.3 不適合製品の管理」「8.2.4 製品の監視及び測定」の内容が当てはまります。

8項でも基本的にはISO9001:2008の項番を8項に当てはめていくだけの作業となります。

変更点は「8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物」は外部提供者の所有物も管理対象へと変わっています。
その他はISO9001:2008の「7.5.4 顧客の所有物」と同じです。

9 パフォーマンス評価

ISO9001:2008の「8.1 一般」「8.2 監視及び測定」「8.2.1 顧客満足」「8.4 データ分析」「8.2.2 内部監査」「5.6 マネジメントレビュー」の内容が当てはまります。

9項では規格の表現と用語が変更になっただけですので、特段何か実施する必要はありません。

強いて言うならば、マニュアル内容を変更後の用語に書き換えていただくことだけです。

10 改善

ISO9001:2008の「8.5.1 継続的改善」「8.3 不適合製品の管理」「8.5.2 是正処置」の内容が当てはまります。

10項では、ISO9001:2008の「8 測定、分析及び改善」をISO90012015の9項と10項に分断されているだけであり、特に変更はありませんので9項と同じくマニュアル内容を変更後の用語に書き換えていただくことだけとなります。

まとめ

いかがでしょうか?

ISO9001:2015になったからといって、大きく変更する箇所は一つもございません。
これまで通り会社の実態を規格書の内容に当てはめるだけです。

当コラムを最後までお読みいただきありがとうございました。
少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

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北村 一真
北村 一真ISO審査員

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