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ISO認証の更新とは?期間と維持審査・更新審査の流れをまとめて解説

2025.01.14
ISO認証の更新とは?期間と維持審査・更新審査の流れをまとめて解説

この記事の3つのポイント

  1. 取得の後、1年後・2年後に維持審査、3年後に更新審査を行う
  2. いずれも内部監査とマネジメントレビューを実施しておくのは必須で、適切にルールが運用されているかや実績などが確認される
  3. 審査に必要な記録は、目的・目標の管理、教育、内部監査の結果と対応、マネジメントレビューの結果と対応

ISOは取得にいろいろな準備が必要なので、認証を受けるとつい気が抜けてしまいがちです。

しかし認証された状態を維持するためには、定期的に審査を受けなくてはなりません。

この記事では、ISOの認証をキープするための維持審査と更新審査について解説します。

ISO認証を受けて間もない企業の担当者の方、担当を新たに引き継いだ方はぜひご一読ください。

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ISO認証取得後~更新までの流れ

ISOを取得したら、取得から1年後と2年後に「維持審査」を受けなくてはなりません。
そして3年後に「更新審査」を受けます。

つまり1年ごとに、順に維持審査・維持審査・更新審査を受審することになります。

4年目からも維持審査と更新審査を同じペースで繰り返します。

それぞれの審査の詳細は次に述べますが、どちらも取得時の審査とは確認される範囲が異なります
維持審査は、目安としては取得時の審査の50~60%と少なくなります。

更新審査は初回2次審査と同じ工数になるので、認証時の審査と同じくらいの量になります。

ISO認証取得後のサイクルについては、以下の記事で詳しく解説しています
ISO14001の更新期間(有効期限)は?維持審査と更新審査って何?その疑問にお答えします!

審査に必要となる書類・記録

更新審査・維持審査いずれも、必要となる記録の種類は同じです。
以下に示します。

審査に必要となる書類・記録

ただし更新審査・維持審査で用意しておく期間の長さが異なります。

更新審査は過去3年分必要です。
維持審査は過去1年分です。

どちらの審査でも、保存場所を確認してすぐに出せる状態にしておきましょう。

教育の記録など、担当者が作成するのではなく回収する必要があるものはとくに抜け・漏れのないようにしておくことが大切です。

ISOの維持審査(サーベイランス審査)とは

次に、維持審査について解説します。
維持審査は、サーベイランス審査と呼ばれることもあります。

ここでは、以下の事項に分けて解説します。

  • 維持審査の行われる期間と流れ
  • 維持審査のポイント

順に見ていきましょう。

維持審査の行われる期間と流れ

維持検査は1年に1回行われます。
認証を取得した月の前後1か月を目安に実施します。

少し余裕を持って、取得月の3~4か月ぐらい前に申請して実施日を調整しましょう。

審査当日の流れは以下の通りです。

維持審査当日の流れ

認証範囲などで必要な時間は異なりますが、すでに述べたように取得時の審査よりは見られる内容が少ないため一般にその分早く終わります。

維持審査(サーベイランス審査)の工数(必要な時間・人数)は以下の記事で詳しく解説しています。
ISOにおけるサーベイランス審査とは?ISO審査員が解説します!

維持審査のポイント

維持審査のポイントを大まかに言うと、定めたルールがISO規格に適合しているか、ルールが決められた通りに運用されているかの2点を見られます。

具体的には以下の確認が行われます。

維持審査確認のポイント

維持審査は、内部監査とマネジメントレビューの実施をしていることが前提となります。
必ず事前に行っておきましょう。

なお審査の対象となるのは過去1年分となります。

ISOの更新審査とは

次に、更新審査について解説します。
以下の事項に分けてまとめます。

  • 更新審査の行われる期間と流れ
  • 更新審査日を設定するタイミング
  • 更新審査のポイント

順に見ていきましょう。

更新審査の行われる期間と流れ

すでに述べたように、更新審査は3年に1回の頻度で行われます。

当日の流れは以下の通りです。

更新審査当日の流れ

必要となる時間は、維持審査と同様に認証の範囲などで異なります。

上記の流れの中で具体的に確認される事項は、この後でまとめます。

更新審査日を設定するタイミング

更新の審査は、登録証に記されている有効期限の2~3か月前ぐらいに行うのが目安です。
それに間に合うよう、審査機関には有効期限の4~5か月前に連絡を取って日程の調整を行いましょう。

有効期限までに合格判定を受ける必要があり、そのためには現地の審査を終わらせ、不適合があった場合も是正完了しなければなりません。

現地審査から判定会議まで一般的に1~1.5か月かかります。

判定会議で不適合があった時のため、審査日は余裕を見て有効期限から逆算し3か月前で設定するのがベストだと言えます。

更新審査のポイント

次に、更新審査のポイントについて解説します。
更新審査においては、大前提となる事項が3点あります。

審査費用の支払い、内部監査の実施、マネジメントレビューの実施です。
上記3つのうちどれか1つでも欠けると更新できません。

そのうえで、更新審査をパスするためのポイントは以下の通りです。

更新審査のポイント

これらは是正処置の指摘を受けずに済ませるためのポイントです。
もちろん指摘があっても期限内に是正できれば更新可能です。

審査は過去3年分が対象です。
上記のポイントに問題がないか確認し、対処しておくことが準備につながるでしょう。

では、上記のポイントについて順に見ていきます。

●目標・計画の達成状況と分析

目標や計画の達成状況、その傾向分析結果も確認されます。
具体的には以下の内容が挙げられます。

目標・計画の達成状況と分析

ISOはPDCAの考え方がベースとなるため、目標が達成できたかと必要な場合に改善しているかは適切な運用の印です。
こちらについても、実績・実態と記録をあらかじめ確認してまとめておきましょう。

以下の記事でISOの目標について解説しています。
【ISO14001】目標例をもとにPDCAサイクルの回し方を考えてみましょう

●ルールの運用と規格の適合状況

文書や記録のルール、実際の業務におけるルールが決められた通り運用されているかも確認されます。
ルールの順守は規格に適合していることそのものだからです。

この点については、維持審査でも審査されます。
更新審査でも、聞かれたことにすぐ答えられるよう資料をまとめておきましょう。

ある意味ではほかに更新審査に特別な準備をする必要はなく、ふだんから決められた通り運用していれば問題ないとも言えます。

●緊急事態への対応や訓練の状況

まず、緊急事態への対応や訓練の状況についてです。
ISOの要求事項には、緊急事態への対応策を決めておくことが求められています。

実際に緊急事態になった場合があれば、その際どのように対応したかが記録を通して確認されます。

また実際になかったとしても、緊急事態対応計画に基づく訓練(テスト)を行ったが、その記録があるかについて確認されます。
それぞれの記録をまとめておきましょう。

●内部監査の結果と対応・分析

内部監査は最低年1回実施するのが前提です。
PDCAサイクルを正常に機能させるためにも必要な手順です。必ず行いましょう。

抜き打ちではなく計画を立てて調整し、チェックリストなど準備をしたうえで監査を行います。
実施後は、結果をもとに必要に応じて是正活動を行います。

内部監査の結果が記録されているか、是正活動や水平展開が行われているかをあらかじめ見ておきましょう。
そのほか維持審査で指摘された不適合への是正処理についても確認が必要です。

内部監査については、以下の記事で詳しく解説しています。
ISO9001内部監査に役立つ質問事例集 – ジーサーティ・ジャパン
ISO14001内部監査のチェックリストと質問のサンプルを無料で公開します!
ISO9001内部監査のチェックリストサンプルを無料で公開します!
【ISO14001】目標例をもとにPDCAサイクルの回し方を考えてみましょう

●マネジメントレビューの実施状況

マネジメントレビューも毎年実施しているのが前提となります。
最低でも年に1回は必ず行わなければなりません。

そのうえで、適切に行われているかどうか見られます。

具体的には問題点の把握と分析評価改善点の指示までの流れを確認しておきましょう。

そのほか問題点だけでなく、良かった点をどう伸ばしていくかについても記録されているかチェックしておくことが求められます。

●改善活動の効果

これまで見て来たことにも関わりますが、改善活動の効果もチェックされます。
具体的には、顧客クレームの件数の変化(減っているか)、クレームへの対応などです。

そのほかにも不具合が減っているか、顧客満足度が向上しているかなど自社の場合に照らして確認しましょう。

また注意しておきたいのが、変更があった場合に適切に対応しているか、トラブルが発生した場合に類似業務に水平展開されているかです。

その点についても事前にチェックしておきましょう。

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その他の審査

一般にISOの維持に必要なのは維持審査と更新審査だけですが、何らかの変更があった場合などは以下の審査を行うことがあります。

  • 特別審査: マネジメントシステムに重大な変更を行った場合や、クレーム・行政処分を受けた場合などの審査
  • 拡大審査: 認証範囲の業務内容やサービス、事業所を拡大した場合の審査

いずれも維持審査・更新審査と同時に行うことも多くあります。

維持審査・更新審査の費用と審査機関について

費用に関しては、維持審査・更新審査はそれぞれ認証審査の1/3・2/3が目安です。
認証の範囲などによって金額は異なります。

審査機関については、一般的には認証した機関に維持審査・更新審査を依頼しますが変更しても問題ありません。
変更の手間もそれほど大きくありません。

以下の記事で費用について詳しく解説しています。
ISO認証の費用を知ろう!取得費用・維持費用と費用対効果の考え方を解説

まとめ

ISOの更新には毎年維持審査あるいは更新審査を受ける必要があり、同じ確認の繰り返しとなります。

更新審査は対象期間が長くなりますが、普段から適切に運用していれば問題なく進めることができます。

日常的な運用を確認するきっかけとして、審査を有効に利用しましょう。

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前田 裕貴
前田 裕貴ISO審査員

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