ISO9001 COLUMNISO規格の知識コラム(ISO9001)
ISO9001 コラム
ISO9001とは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)が定めた、「品質マネジメントシステム(Quality Management System = QMS」)」の国際規格です。
改訂年度を含めた「ISO9001:2015(JIS Q 9001)」という呼び方もされています。
この規格は、世界中で多くの様々な企業や団体等で認証取得がされており、この認証を取得する事はいわば、「この組織は一定の国際基準を満たす品質管理の仕組みを持っているところですよ」という証明になります。
本記事ではISO9001とはどんなものなのか、その概要や目的といった基礎的なことから、認証取得のメリットや審査当日のスケジュール事例などご紹介します。
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目次
ISOとは国際標準化機構ISO(正式名称「International Organization for Standardization」)の略称です。
スイスのジュネーブに本拠地があり、あらゆる分野において「世界中で同じ品質・同じレベルの製品やサービスを提供できるようにする」ために世界共通の基準を設けることを主な活動としています。
ISOについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ISOとは?ISOについてわかりやすく簡単に解説
ISO規格とは、上記の「International Organization for Standardization」という国際標準化機構が制定する規格で「世界共通の基準=世界共通のものさし」のことです。
そのため、ISO規格を導入するということは、「世界共通のものさしに基づいて製品やサービスを提供する」ということになります。
つまり国際間の取引・国内の取引の両方において、大きな信頼付けになる基準だと言えます。
ISO規格は5万種類以上存在しており、製品そのものを対象とする「モノ規格」と組織の品質活動や環境活動を管理するための仕組みを対象とする「マネジメントシステム規格」があります。
モノ規格は質量・長さ・時間の単位・案内標識・コンセントやプラグなどの基準を定めています。
モノ規格の具体例は、イソネジ・カードのサイズ・フィルム感度・非常口マークなどです。
マネジメントシステム規格は社内ルールや仕組みづくりをするための基準を定めています。
この記事で解説するISO9001はマネジメントシステム規格に当たり、ほかにも環境マネジメントシステムのISO14001などが該当します。
ISO9001とは、「組織(会社・各部門他)が提供を行う「商品やサービスの品質向上」を目的とした品質マネジメントシステム規格(QMS)のことです。
ISOは様々な種類の規格がありますが、この規格は「顧客満足」にフォーカスしたものとなります。
この規格の最終的な目標地点となるのは「顧客満足」を満たす・達成することであり、そのために「継続的な各業務プロセスの改善をしていく仕組みを運用し続ける」ことがこの規格の大事な部分となります。
その取り組みを続ける事で、より良いサービスや商品を顧客に提供し続けることができます。
また、この規格では品質だけの話ではなく、価格や納期など顧客が求める事、所謂「顧客要求事項」を満たすことも非常に重要です。
(非常に品質が良くてもあまりにも高価格過ぎる・納期が遅すぎて使いたい時に手元にこない等、こういった事があると顧客の要望を叶えられているとは言えないため)
そのため、品質だけをとことん追求する、というわけではなくQCD(Q(quality・品質)C(cost・価格)D(delivery・納期))のバランスを重視した上で顧客の対応を行うということになります。
少し固い言葉での説明ですので、下記でもう少しかみ砕いてご説明をしていきます。
「品質マネジメントシステム(QMS)」、日常生活では聞き慣れない言葉かと思います。
そもそもの言葉の定義は以下の通りです。
提供する製品やサービス等が、求められている目的(使用目的、お客様の意図する目的)に対してどの程度満足できるものであるか?の程度を示すもの
目標や方針に対して、それを達成していく為の方法・やり方を管理運営する為の仕組みのこと
例えば、来年の夏までに10キロ痩せる(痩せて海でモテる見た目になりたい)という目標を立てたとします。
その為にはどうすればいいのか?
例えば運動する、食事制限等といった方法が出てくると思います。
それをより具体的に計画を立てていきます。「10キロ痩せる」という大きな目標を実現する為の小さな目標を立て、それを実際にこなしていく為のルールを作ります。
毎日ジョギングを1時間する、一日の摂取カロリーを1400kcalに抑える。という形で具体的に目標を立てて、一か月程度実践してみます。そうすると、きちんとできていないところが出てきたり、見直すところがあれば別の方法を考え、また実践し、見直しし、大きな目標の達成に向けて改善していく。この流れをマネジメントシステムと言います。
品質マネジメントシステム(QMS)では、これの組織バージョン&品質を主軸とした内容になります。
モノ作りで例えると自分たちが作るモノの品質を向上させる事が「目標」であれば、その実現の為に不良品の出る数を減らしたり、余分な工程について見直しをする「仕組み」を作る、というイメージをお持ち頂くとわかりやすいかと思います。
ISO9001の起源は1950年代にさかのぼります。アメリカとイギリスの政府部門が軍事調達の基準を確立していったところから始まります。
1987年にISOによりプロセスアプローチを導入した品質マネジメント規格が公開され、その後1994年、2000年、2008年とその時代のユーザーやニーズに対応するように定期的にレビューされ改訂を行ってきました。
最新版は2015年版になります。
冒頭でも少し触れた通り、「ISO9001:2015(JIS Q 9001)」のように後ろ数字4桁で何年版が適用されているのか分かるようになっています。
ISO9001の歴史についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ISO9001の歴史を知ろう
さて、先に品質マネジメントシステムとはどのようなものかについてお話をしました。
ここでは、この認証を取得するメリットについてお話致します。
認証取得には、以下の3つの大きなメリットが挙げられます。
新規顧客と取引する際、どんな会社なのかを必ず調べると思います。
その時にISO9001の取得をしていると、社内の仕組みが適切に構築されている会社という風に捉えてもらう一つの大きな材料となるかもしれません。
業種により異なりますが顧客と取引するための条件の1つとして要求されるケースも多々あります。
公共事業等の入札条件として求められる場合、取引先から取得要求がある場合等、「有利」になる場合もあれば「必須条件」として提示される事も少なくありません。
特に建設業の場合だと公共工事は「競争入札」という受発注形式が非常に多く、入札時の経営事項審査における加点対象にISOの取得が加点対象になるケースがあります。
(※条件や加点については各県・市町村にて異なります)
入札の競争が非常に厳しくなっていく中で、加点に繋げられる1つの要因でもある事から取得のメリットが特に大きいです。
ISO9001の認証を取得する事は、単に仕組みを作るだけでなく、実際にその仕組みの運用が出来ておりその運用が目標に対して効果があるものであるのか、実務の改善に大きく繋がります。
それに実際に関わるのは組織の上層部だけでなく組織に所属する人員全てです。
ISO9001の中では組織の方針・目標の認識や教育、組織内コミュニケーション等も重要なポイントとなっています。
認証の取得は形として対外的に大きな効果があるだけでなく、認証取得に取り組み、認証取得を継続していく上での仕組み改善活動とそれによって得られる組織内改善・向上こそがISO9001の本質であり、非常に大きなメリットであると言えます。
ISO9001を取得するメリットについてはこちらの記事でさらに詳しくご説明しております。
併せてご参照ください。
ISO9001を取得するメリット・デメリット
ISO9001を企業が取得する目的は、大まかに分けて「顧客要求に応える・入札条件を満たす等、競合他社との差別化を図って取引先を拡大する」というマーケティング視点の目的と、「自社内のマネジメントシステムを確立し、品質の向上・安定を目指す」というマネジメント視点の目的が考えられます。
以下の記事でISO9001規格自体の目的や企業がISO9001を取得する目的について詳しくご説明しております。
併せてご参照ください。
ISO9001を企業が取得する目的って?
ISO9001に関するお話をしてきましたが、では、この規格ではどんな事が求められているのでしょうか。
より具体的に、「規格要求事項」についてお話をしていきます。
規格はPDCAに基づいており、それぞれのステップで以下の内容が求められています。
なお要求事項には「適用範囲」「引用規格」「用語及び定義」という部分もあります。
これらはISO9001の概要説明部分に該当し、実際の要求事項ではないため割愛します。
では、上記のステップにのっとって各項番についてざっくりと見ていきましょう。
PDCAの「P」(PLAN:計画)の部分に該当する要求事項の項番は、4項から7項までの「組織の状況」「リーダーシップ」「計画」「支援」です。
「組織の状況」
組織の現状把握や利害関係者のニーズ等を理解した上で認証の適用範囲を決定し、品質マネジメントシステムの組織体制を構築することが求められています。
「リーダーシップ」
組織の全員が積極的に活動に取り組むためにその環境を作るトップマネジメントが必要であるとしています。
トップが方向性を示す事で組織のメンバーが向かうべき方向性がわかるからです。
「計画」
リスクや機会の特定・分析・評価をするための計画策定について規定しています。
「支援」
品質マネジメントシステムを運用する為に必要な資源(ヒト・モノ・カネ等)の事です。
PDCAの「D」(DO:実行)に当てはまる項番は、8項の「運用」です。
ここでは、7項までの計画の手順を整え、実施することが求められています。
より具体的に言うと、顧客が求める要求事項や、製品・サービスの開発~出荷における品質管理の方法などを明確にすることです。
その上で、運用管理を進めていきます。
PDCAの「C」(CHECK:評価)に該当するのは、9項の「パフォーマンス評価」です。
実際に計画・そして運用したマネジメントシステムについての評価方法を規定しています。
評価方法とは、より具体的に言うと顧客の評価、内部監査、マネジメントレビューです。これらの評価方法を明確にすることが求められています。
PDCAの「A」(ACT:改善)に当たるのは、10項の「改善」です。実際に計画・そして運用したマネジメントシステムについての評価方法と改善方法についてを規定しています。
具体的には、不適合が出たときの是正措置などです。
「不適合」
規格要求事項や組織内規程の他、顧客や法令の要求事項などを満たしていない状態のことを指します。
「是正措置」
不適合の原因を除去し再発を防止するための処置のことをいいます。
日本のISO9001認証取得企業数は2007年以降減少傾向にあり、日本の認証審査機関を統括する公益財団法人日本適合性認定協会(Japan Accreditation Board)の最新の発表によると2020年3月末時点では30,371件となっています。
こちらの記事では2000年〜2020年の20年間における日本のISO9001認証取得企業数の推移とその傾向、また、世界各国のISO9001認証取得企業数についてもご紹介しております。
ISO9001認証取得企業数の推移
実際にISO9001の認証取得審査を弊社GCERTI-JAPANで受けて頂く場合の流れと、おおよそのスケジュール感(必要な日数)をご紹介いたします。
打ち合わせ(適用範囲の決定・審査日の確保)+お見積り(審査費用の提示)
↓↓ 14日目安 ↓↓
申し込み(申込書・組織図記入)所要時間15分程度
※GCERTIでは申し込み時に品質マニュアルの提出もお願いしております。
↓↓ 14日目安 ↓↓
契約締結(クラウドサイン)
↓↓ 60日目安 ↓↓
審査費用支払い(審査の前月末日まで)
↓↓ 30日目安 ↓↓
第一段階審査実施(申し込みから3ヶ月目安)
↓↓ 7日~30日目安 ↓↓
第二段階審査実施
↓↓ 45日目安 ↓↓
認証取得(認証書発行・ロゴマーク発行)
最短スピードで認証取得
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大まかなISO9001取得の流れをご説明しましたが、では実際に審査では一体何をするのでしょうか?
審査という言葉だけを見ると、何をどうチェックされるんだろうとドキドキしてしまう方もおられるかと思います。
実際の審査はどんな事をするのか一日のスケジュール例を挙げてお話します。
審査スケジュール例:製造業A社様の審査(※記載内容はあくまで一例になります)
09:00-09:30 | オープニングミーティング |
---|---|
9:30-10:00 | トップインタビュー |
10:00-10:30 | サイトツアー |
10:30-11:15 | 管理責任者インタビュー |
11:15-12:00 | 営業部インタビュー |
12:00-13:00 | 昼 食 |
13:00-14:45 | 製造部インタビュー |
14:45-15:30 | 品質管理部インタビュー |
15:30-16:30 | 審査のまとめ |
16:30-17:00 | クロージングミーティング |
上記で審査当日のスケジュール例を掲載致しましたが、各ご担当の方と実業務で使用されている記録等を一緒に拝見させて頂きながら、どのような形で業務をされているかお話を伺うような形になりますので、審査の際は是非リラックスして頂き、お話を頂ければと思います。
ここまでISO9001とはというテーマで取得のメリットや実際に審査で何をするのかを交えながらご説明させていただきましたが、いかがでしたか?
本記事がISO9001とは(別称:「QMS」「ISO9001:2015(JIS Q 9001)」)どういったものなのか、皆様のご理解の一助となりましたら幸いです。
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