ISO9001 COLUMNISO規格の知識コラム(ISO9001)

ISO9001 コラム

ISO9001

ISO9001の要求事項とは?わかりやすいコンパクトなまとめ【具体的内容と原則だけ】

2025.08.07
ISO9001の要求事項とは?わかりやすいコンパクトなまとめ【具体的内容と原則だけ】

この記事の3つのポイント

  1. 「要求事項」とはISO規格において満たすべき基準や条件、ISO9001では品質管理に関する内容
  2. ISO9001の要求事項は、組織の状況、リーダーシップ、計画、支援、運用、パフォーマンス評価、改善
  3. 品質マネジメントシステムの7つの原則は、顧客重視、リーダーシップ、人々の積極的参加、プロセスアプローチ、改善、客観的事実に基づく意思決定、関係性の管理

ISO9001の取得を検討していると、「要求事項とは何か?」という疑問に直面することが多いのではないでしょうか。
この記事では、ISO9001の要求事項に限定して、原則と具体的な内容をコンパクトに解説します。

総論的な説明ではなく、審査や社内整備に直結する実務的な視点で整理しています。
「ISO9001 要求事項」だけを知りたい方に最適な内容です。

ISO・ISMS審査に関するご質問は
お気軽にお問い合わせくださいお問い合わせフォーム

ISO9001とQMS

ISO9001は、製品やサービスを一貫して提供し、顧客満足を実現するための国際規格です。顧客満足を高めるには、品質の向上が不可欠。
その品質を継続的に向上、改善する仕組みが「品質マネジメントシステム(QMS)」です。
本記事では、その中核となる「要求事項」に絞って解説します。

ISO9001全体像を知りたい方は、こちらも参考にしてください。
ISO9001とは?要求事項や認証取得のメリットについて簡単にまとめました!

ISO9001の要求事項一覧

ISO9001における「要求事項」とは、品質マネジメントシステム(QMS)を効果的に運用するために、組織が満たすべき基準や条件のことを指します。
これらは、顧客満足の向上と継続的な改善を実現するための具体的な行動指針として定められています。

ISO9001:2015では、要求事項は全10項目で構成されていますが、実務上の中心は第4~10項にあります。
以下、それぞれの項目について簡潔に解説します。

4. 組織の状況/5. リーダーシップ/6. 計画/7. 支援/8. 運用/9. パフォーマンス評価/10. 改善

各項目がどのような役割を持ち、QMS全体の中でどのように機能するのかを整理していきましょう。

2015年版のISO9001要求事項変更点

2015年版のISO9001では、以下の4点が大きな変更点となりました。

  1. QMSを事業プロセスに統合
  2. リスク及び機会への取組み強化
  3. プロセスアプローチの採用と促進
  4. 文書管理や責任・権限の柔軟化

これにより、より実践的かつ柔軟な運用が可能になりました。詳細は下記記事もご参照ください。
【ISO9001:2015年度版】要求事項の改正ポイントを分かりやすくまとめました
ISO9001の改訂は2025年?予定の動向と内容・準備すべきことを解説

ISO9001の要求事項

ISO9001の要求事項は全10項目で構成されていますが、そのうち実際に組織が取り組むべき具体的な内容は4~10項に記載されています。
1~3項は序文や用語の定義など前提部分であり、実務上の対応が求められるのは4項以降です。

以下、それぞれの要求事項のポイントを簡潔に解説していきます。

4.組織の状況

組織の状況では、品質マネジメントシステム(QMS)の範囲を明確にするために、社内外の環境や課題の把握・分析が求められます。
具体的には、以下の3点を明確にする必要があります。

4.組織の状況

これにより、QMSを効果的に設計・運用できる土台が整います。

5.リーダーシップ

リーダーシップでは、QMSの有効性を高め、品質目標を達成するためにリーダー(経営層)が積極的に関与することが求められます。
具体的には以下の3点です。

5.リーダーシップ

トップマネジメントの主体的な関与が、組織全体の品質意識と取り組みの基盤となります。

6.計画

計画は、品質マネジメントのPDCAサイクルにおける「P(Plan)」に該当し、管理体制の土台を築く重要な段階です。
具体的には、以下の3点です。

6.計画

詳しくは以下の記事も参考にしてください。
ISO9001の品質目標とは?具体例を交えて分かりやすく解説します!

7.支援

支援はPDCAの「D(Do)」にあたり、QMSの運用に必要なリソースの確保や不足した場合の調達方法が求められます。
人員(適切な担当者の配置)、設備(機器やシステムなどの物的資源)、知識(業務遂行に必要な情報やノウハウ)を整えることが基本です。

また、力量はスキル育成にも関わる重要な要素であり、教育・訓練による強化も含まれます。不足時の対応方針も明確にしておく必要があります。

8.運用

運用は企業活動や現場での実践を担う領域で、PDCAの「D(Do)」に該当します。
ISO9001の中でも特に重要視される項目であり、主に以下の4点が含まれます。

8.運用

現場での確実な実行が品質を左右します。

9.パフォーマンス評価

パフォーマンス評価は、PDCAの「C(Check)」に該当し、QMSの運用結果や有効性を評価するための重要なステップです。
具体的には、以下の3点です。

9.パフォーマンス評価

詳しく知りたい方は以下のサイトを合わせてご確認ください。
ISO9001内部監査の内容と進め方 – ジーサーティ・ジャパン

10.改善

改善は、PDCAサイクルの「A(Act)」に該当し、品質マネジメントシステム(QMS)の継続的な向上を目指すステップです。
具体的には、以下の3点です。

10.改善

問題の放置を避け、改善を積み重ねることで、顧客満足と組織の信頼性向上につながります。

GCERTIのISO9001審査は審査がスピーディ・審査料が安い・お客様の負担が少ない

品質マネジメントシステム7つの原則

ここからは、ISO9001の基礎となる「品質マネジメント7原則」について簡潔にご紹介します。

各原則の詳しい内容や背景についてさらに深く知りたい方は、ぜひ以下のリンクをご覧ください。
品質マネジメント7原則の内容とその必要性とは? – ジーサーティ・ジャパン

原則1 顧客重視

品質マネジメントの目的は顧客満足の達成です。
顧客のニーズを把握し、満足度の高いサービスを提供し、信頼を得て組織が持続的に成功するために、製品やサービスの提供プロセスを継続的に改善する必要があります。

原則2 リーダーシップ

リーダーは組織の指針や方向性を示し、品質目標達成に向けて人々を導く責任があります。
トップだけでなく現場の責任者も含め、継続的な改善を推進する役割が求められます。

原則3 人々の積極的参加

品質目標の達成には、全社員が積極的に関与することが不可欠です。
リーダーの方針に従い、自ら考え行動することで、組織全体のQMSが効果的に機能します。
すべての従業員が積極的に参加して組織に貢献するようにするため、コミュニケーションの促進やオープンな議論、教育などが必要です。

原則4 プロセスアプローチ

業務をプロセスとして捉え、目的や課題を明確にし、相互のつながりを意識して管理することで、組織全体の効率と成果を高める考え方がプロセスアプローチです。

詳しくは、下記コラムをご参考ください。
ISO9001のアウトプットとは? – ジーサーティ・ジャパン

原則5 改善

改善は常に意識すべき原則であり、問題がなくてもより良くできる点を探る姿勢が重要です。
ISO9001ではPDCAサイクルを通じて、顧客満足度向上のため、継続的な改善を図ることが求められます。

原則6 客観的事実に基づく意思決定

意思決定は推測ではなく、記録やデータなどの客観的事実に基づいて行うことが重要です。
これにより、目標達成の可能性を高め、組織の判断精度を向上させることができます。

原則7 関係性の管理

利害関係者との良好な関係を築き、協力し合うことが組織の持続的成功につながります。
顧客や仕入先、従業員など関係者との信頼関係の維持・強化が重要です。

まとめ

ISO9001は、顧客満足と品質向上を目的とした国際規格であり、要求事項と7原則がその核心です。要求事項では、組織の運営から改善までを体系的に管理することが求められます。
7原則は品質マネジメントの基本的な考え方として、実務に深く関わります。単なる形式ではなく、実際の業務に落とし込むことが、ISO9001の本質的な活用につながります。

  • SNSでシェアする

1分でカンタン!
なんでも質問フォーム

株式会社GCERTI-JAPAN
ISO審査機関です。
コラムの内容やISOに関することでお困りの際はお気軽にご相談ください。
ISO審査員がお答えします。

小林 卓慈
小林 卓慈ISO審査員

一審査員として、社会貢献ができるよう努めてまいります。 また、営業面ではお客様にとって、より良い提案ができるよう、お客様とのコミュニケーションを大事にしております。

お問い合わせはこちら
お問い合わせはこちら
お見積もり依頼 お問い合わせ

Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial